元若ノ鵬が提訴「親方は私に戻ってもらいたい」

[ 2008年9月12日 06:00 ]

会見後に深々と頭を下げる元幕内力士・若ノ鵬ことガグロエフ・ソスランと宮田弁護士(左)

 大麻取締法違反容疑で警視庁に逮捕され、日本相撲協会から解雇処分を受けた元幕内・若ノ鵬のガグロエフ・ソスラン元力士(20)が11日、解雇の無効と地位保全を求め東京地裁に提訴した。協会が処分無効の提訴を受けるのは初めて。弁護士側は勝訴に自信を見せており、北の湖前理事長の辞任で決着がついたと思われた一連の大麻騒動は、新たな局面を迎えた。

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 2人の弁護士と通訳を伴い、羽織はかま姿で会見場に現れた元若ノ鵬は、復帰への強い思いを訴えた。
 「ルール守らないとダメですけど、休場、1場所、2場所になると思っていた。クビになるまで思わなかった。裁判良くない分かる。でも私はどうしても相撲やりたい」
 会見に同席した宮田眞弁護士と竹内学弁護士は、過去の協会関係者が起こした不祥事と協会の処分を調べた一覧表も資料として用意。宮田弁護士はその中の事例を挙げながら「昭和40年に2人の横綱が拳銃不法所持で書類送検された時はけん責処分。平成7年に親方が麻雀賭博で逮捕された時は謹慎。昨年の力士暴行致死事件では親方は解雇されたが、力士は処分されなかった。これらに比べて若ノ鵬の解雇は極めて厳しい」と主張した。
 元若ノ鵬は9日に協会を訪れ、武蔵川新理事長(元横綱・三重ノ海)らに復帰を嘆願したが、拒否されていた。10日には間垣部屋で師匠の間垣親方(元横綱・2代目若乃花)に謝罪し復帰の協力を求めたが断られた。師匠に「辞めますから親方マゲを切ってください」と訴えたところ師匠が涙を流したため「親方は心の中で私に戻ってもらいたいと思っていると感じた」という。
 宮田弁護士によれば、解雇されると処分から3カ月以内で若ノ鵬の滞在資格がなくなるため早期訴訟に踏み切ったという。「生活費の問題もある。地位保全が認められれば、土俵に上がれなくても給与などは受け取れる」と説明した。
 協会は今回の提訴について「訴状を見ていないのでコメントできない」と態度を保留しているが、宮田弁護士は「協会の処分は一般的な事例と比べても厳しい。職権の乱用。(勝訴の)手応えはある」と強気だった。大麻問題は司法の場に舞台を移して争われることになった。

 ≪若の鵬元力士に聞く≫
 ――なぜ訴訟に踏み切ったのか。
 「若い時、誰でも間違いある。悪いことしましたけど、日本の警察は許した。協会も許していいんじゃないですか。そう思います。戻るために裁判やります」
 ――復帰を強く望むのはなぜか。
 「間垣部屋に入って3年頑張った。(相撲界で)まだ自分の本当の力出し切っていない。(先場所)幕内筆頭で負け越した。本当はもっともっと上まで上がりたかった。相撲は大好き。どうしても戻りたい」
 ――間垣親方には相談したのか。
 「親方は知らない」
 ――訴訟を知ったら間垣親方は悲しむのではないか。
 「私は親方の子供。親は子供をいらないって言わない」
 ――仮に復帰できてもファンの目は厳しい。
 「(復帰できたら)まじめにやります。本当にまじめにやります」

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2008年9月12日のニュース