手負いの桃子に“神の手”連続

[ 2008年9月12日 06:00 ]

2番ホール、上田桃子の2打目のロストボールを女性競技員が見つけドロップする

 手負いの桃子が1打差2位と好発進した。女子ゴルフツアーの日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯第1日は11日、石川県加賀市片山津ゴルフ倶楽部白山コース(6545ヤード、パー72)で行われ、左手中指のツメを負傷後、復帰戦となった上田桃子(22=ソニー)が5バーディー、1ボギーの4アンダー、68をマーク。2番ではあわやロストボールの危機を乗り越え、初の国内メジャー制覇へ、最高の出だしとなった。今季国内ツアー初参戦の宮里藍(23=サントリー)は2オーバー74の30位と出遅れた。単独首位は辛ヒョンジュ(28=韓国)が5アンダーで立った。

【上田桃子 スポニチ特製カレンダー】

 本当にツメをはがしたのか、疑いたくなりそうな好発進だった。上田が左手中指のツメを損傷後、初のトーナメントで68をマーク。「最低1アンダーで上がりたいと思っていたけど、ティーショットも安定し、嫌なパーパットも入ってくれた」と、かみ合ったゴルフの内容を喜んだ。
 難しいアウトを1アンダーでターンすると、後半にエンジンをかけた。11番で2メートルを沈めると、15、16番でも連続してバーディーを奪い、着々とスコアを伸ばした。
 運も味方につけた。「きょうのキーはそこ」と断言した2番パー4。第2打がグリーン手前のラフにすっぽりと入った。ところが、ラフは約15センチもあり、同伴競技者や報道陣ら総勢20人で捜したがボールはなかなか見つからない。規則で決まっている捜索時間は5分。「半分以上あきらめていた」ところ、途中から加わった競技委員が踏みつけたことでボールは発見された。
 局外者がボールを踏んだために無罰でドロップしてから打ち、ピンの手前7メートルに3オン。そこからカップ1個分のスライスラインを読み切った。ダブルボギーも覚悟した序盤でのナイスパーで不調だったパットへの自信を深めた。
 8月27日の盲導犬イベントでツメを負傷後、向かったのは生まれ故郷の熊本だった。高校時代の友人宅で夜を明かし、思いっきり笑った。翌日は墓参り。小さいころから通った加藤神社へも足を向けた。お参りだけをするつもりが、知り合いの神主がサービスで「必勝祈願」をしてくれた。ケガの影響で練習は存分にできなかったが、心身ともにリフレッシュ。「目標は変わらない。(優勝予想スコアの)6アンダーを目指して伸ばせるだけ伸ばしたい」。このどん欲さが、優勝への近道だ。

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2008年9月12日のニュース