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「トー横のハウル」拘置所で急死…22日初公判前に 10代少女に淫らな行為で6月に逮捕

[ 2022年11月16日 05:30 ]

 東京・歌舞伎町の通称「トー横」で「ハウル」と名乗り、同所で知り合った家出中の10代の少女に淫らな行為をしたとして逮捕・起訴された男が東京拘置所で死去していたことが15日、分かった。関係者によると、14日に体調が急変し、同日亡くなった。病死とみられる。1週間後の22日に初公判が予定されていた。

 男は小川雅朝被告(33)。逮捕前はボランティア団体「歌舞伎町卍会」総会長として、「トー横」で炊き出しや清掃活動などのボランティアをしていた。元幹部によると「卍会」には10~50代の約270人が登録していたが、トップの逮捕後に解散した。

 居場所を求めて「トー横」に集まる未成年や若者らは「トー横キッズ」と呼ばれ、小川被告はそのリーダー格だった。長い髪を金や紫に染め、大きなサングラスと黒いマスクがトレードマーク。「ハウル・カラシニコフ」を名乗り、周囲に本名を明かすことはなかった。

 幼い頃に両親と離れて児童養護施設で育ったという。昨年12月、取材に「学校にも行かず、年上のお姉さんの家に居候していた。毎日ご飯を作っていたから得意になった」とも話していた。その日は手作りの牛タン入りペペロンチーノを保存容器から取り出して振る舞っていた。「子供たちを守りたい。将来は児童養護施設をつくりたい」と語りながら、深夜に少年少女の悩み事を聞いていた。

 周囲の人物評は二分される。元卍会幹部は「めちゃくちゃ優しい人だった。亡くなったことがとても悲しい」と声を震わせた。一方、知人は「彼の前で子供たちが平気でタバコを吸ったり酒を飲んでいた。表向きは助けの手を差し伸べてるように見えるが、実態は異なる」と突き放した。

 15年1月、金沢市内の自宅で10代の女性に乱暴した疑いで逮捕され、その後、危険ドラッグを所持していた疑いで再逮捕された過去も。知人は「今回の体調急変と関係があったのか」と漏らした。

 今年6月、新宿区の自宅で少女に淫らな行為をしたとして、東京都青少年健全育成条例違反の疑いで警視庁に逮捕。送検の際には「帰ったら飯作ってやるからな!」と報道陣のカメラに叫んだ。活動は慈善だったのか、それとも少女を物色するためだったのか。初公判が目前に迫る中、真意を語ることなく去ってしまった。

 ≪元刑務官「何らかの既往症が原因か」≫30代の小川被告が拘置所で病死したとみられることについて、元刑務官の作家・坂本敏夫さんは「何らかの既往症が原因で死亡したことが考えられる」と指摘した。一般的に拘置所に収容される際には、健康診断が行われることから「病気を持っていたとしても医務官が適切な治療を行う。食物アレルギーも調べられ、アナフィラキシーを起こすことも考えづらい」という。

 拘置所や刑務所内での死亡者は、全国で年間約150人とのデータがあり「内訳は病死が最も多く、自殺は数人。作業中の事故死は数年に1人。死者が増加しているという印象はない」とした。 

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2022年11月16日のニュース