森山佳郎氏が語る「久保建英」 相手のレベルが高くなるほど“やれる”
【サッカー2026W杯北中米大会 最高の景色を見に行こう(1)】
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6月11日開幕のW杯北中米大会まであと69日。FIFAランク4位のイングランドも撃破し、期待が高まる森保ジャパンに迫る連載「最高の景色を見に行こう」がスタート。第1回はスペイン1部レアル・ソシエダードのMF久保建英(24)。「久保くん」と呼ばれ、将来を嘱望された若き日々をU―15、16、17日本代表で指導したJ2仙台の森山佳郎監督(58)に聞いた。(坂本 寛人)
精鋭だらけのエリート軍団に入っても、存在感は異質だった。指導陣を質問攻め。先輩は呼び捨て。「出せ、出せ、出せ、出せ」と常にボールを欲しがった。
15年4月。U―15日本代表の森山監督は久保を初めて招集した。当時13歳。「鶏がらスープ」と呼ぶほど体は細い。それでもボールを扱う技術、空いたスペースを見抜く認知力は群を抜いていた。自己表現あふれるプレーはすがすがしいものだった。「自分がボールを触って、突破して、ゴールを決めるという意欲に満ちあふれていた」。名門バルセロナからやって来た天才少年は強烈なインパクトを残した。
00年生まれが中心の「00ジャパン」。菅原由勢、瀬古歩夢、中村敬斗らA代表まで生き残った選手は多い。自己主張が激しい世代で、試合中のケンカは珍しくなかった。その中心にいるのが1学年下の久保だった。「言い合いの中に建英がいることは多かったし、そこに菅原や瀬古が負けないぐらい突っかかっていた。強烈なライバル心があったと思う」。根っからの負けず嫌い。ある時、中村の強烈なシュートがチーム内で抜きんでるようになった。森山監督は珍しく、全員の前で中村を褒めた。1カ月後の代表活動。久保のシュートに変化があった。「相当シュート練習してきて“俺も蹴れるし”みたいな。人に負けたくないという思いは強かった」
15、16歳で日の丸をつける選手には早熟が多い。「お前らはどうせ消える」。森山監督は口癖のように言い、選手の鼻をへし折った。だが18歳でバルセロナに戻ると決めていた久保には、何の心配もしていなかった。「目標がみんなと全く違った。そこ(バルセロナ)にたどり着くために逆算していたので。こんなんじゃダメだと」。身体的には晩熟型。A代表入りを確信していた。
森山監督が率いた2年半の活動で「建英のベストゲーム」と振り返る試合がある。17年10月、U―17W杯決勝トーナメント1回戦のイングランド戦。後にプレミアリーグMVPに輝くMFフォーデン(現マンチェスターC)らを擁した世代最強の相手だった。その大一番で初めて、指揮官は久保を特別扱いした。「建英にボールを集めろ」。実際にイングランドは久保からボールを奪えなかった。「フォーデンと対決して、あの試合に関しては建英の方が良かったんじゃないかと。厳しい試合で一番輝いた選手だった」。0―0からのPK戦で敗れた試合後、久保だけは涙を見せなかった。
21年東京五輪、22年W杯カタール大会とステージを進んだ。「久保くん」と呼ばれたかつての幼さは、もうない。「やっと代表になくてはならない存在になった。相手のレベルが高くなればなるほど、やれるやつだと思っている」。主役となる日が近づいている。
《4日復帰も》ケガの影響で英国遠征メンバーから外れた久保は、早ければ4日のレバンテ戦で実戦復帰する可能性がある。1月18日のバルセロナ戦で左太腿を負傷。一時帰国を経てリハビリに努め、先月23日に全体練習に合流した。初出場した22年W杯カタール大会は決勝トーナメント1回戦クロアチア戦を体調不良で欠場するなど不完全燃焼。自身2度目の夢舞台で輝く準備を整えている。
《00世代にエール》「00ジャパン」からは菅原、瀬古、中村、鈴木彩らが初のW杯出場を狙う。森保ジャパンは97~98年生まれの東京五輪世代が中核を担ってきたが、森山氏は20代中盤を迎えた教え子たちの突き上げに期待。「いい年齢になってきた。あいつらの良さは年齢が下でも“俺が中心”という姿勢でやれること。ここから俺たちが引っ張っていくぞ、という気持ちでやってほしい」とエールを送った。
◇森山 佳郎(もりやま・よしろう)1967年(昭42)11月9日生まれ、熊本市出身の58歳。91年に筑波大からマツダ(現広島)入り。Jリーグでは広島、横浜フリューゲルスなどでプレー。99年に引退後は広島ユースで指導者に転身し、13年に日本協会入り。15~23年にU―15、16、17日本代表の監督を務め、U―17W杯で3度指揮した。24年から仙台を指揮。
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