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【蹴トピ】新生欧州CL4増の36チームで17日開幕 変則1リーグ制で混戦必至

[ 2024年9月11日 06:00 ]

昨季、通算15回目の欧州CL制覇を果たしたRマドリード(ロイター)

 欧州チャンピオンズリーグ(CL)が17日に開幕する。1次リーグは従来から4増の36チームが参加し、1リーグ制で各チームが異なる8チームと対戦する。抜本的な大改革の狙いや期待、一新された大会形式を解説する。

 36チームが同じ順位表で競う欧州CLの新方式。チェスなどで採用される総当たりではない「スイス方式」で、今回は異なる8チームとホームとアウェーで4試合ずつ対戦する。

 トーナメントが原則だった前身の欧州チャンピオンズ杯、92~93年シーズンの移行で一組4チームのリーグ戦が組み込まれた従来の欧州CLから、同一チームとのホーム&アウェーという大原則を覆す大転換。欧州各国のリーグを束ねる欧州リーグ連盟会長として大会を主催する欧州サッカー連盟(UEFA)とCL改革を話し合ってきたパリSGのアルケライフィ会長は、抽選結果に「この方式での競争の激しい試合の数には驚かされる。素晴らしい」と語った。

 1次リーグから注目対決が目白押しだ。実績に基づくランキングでチームを1~4のポットに振り分け、抽選で各ポットから2チームずつホームとアウェーで対戦する相手を決定。第2ポットに回った強豪や名門も多く、パリSGは第1ポットからマンチェスターCとBミュンヘン、第2ポットからAマドリード、アーセナルと顔を合わせる。Rマドリード―リバプール、インテル・ミラノ―マンチェスターCなど過去5季のうち4季の決勝カードがいきなり再現されることも決まった。

 4チームによる従来の1次リーグでは4試合目で突破が決まり、残り2試合が消化試合になるケースもあったが、1~8位が自動的に決勝トーナメントに進み、9~24位がプレーオフ(PO)で残る8枠を争う新方式では18試合が同時開催で行われる最終戦まで激しい争いが予想される。

 1次リーグが2試合増え、さらにPOに回ったチームは優勝まで17試合が必要。従来より最大4試合増で選手の負担は増すが、収入増を求めるクラブには望むところ。ロシアの侵攻を受けてピッチ内外で苦境にあるウクライナ王者シャフタル・ドネツクのパルキン会長は「欧州カップ戦が1試合でも増えるのはファンや選手にとって素晴らしいこと。クラブの財政にとっても」と訴える。大会全体を通じての総試合数は昨季までの125から189の大幅増になる。

 AP通信によれば、賞金総額は最低でも従来より25%増の25億ユーロ(約3950億円)になる。参加クラブに対する出場保障は1862万ユーロ(約29億4000万円)で試合ごとの結果や最終順位、勝ち上がりに応じた賞金に加え、各クラブの市場価値やランキングに基づく分配金もある。22~23年シーズンを制したマンチェスターCは総額1億3500万ユーロ(約213億円)を得たが、新たな王者は1億5000万ユーロ(約237億円)を手にする可能性があるという。

 試合数と対戦チームの増加(3→8)で勝ち抜くには選手層の充実と調査分析能力が従来以上に求められ、資金力が豊富なクラブの優位性がさらに増すと指摘される中、新生CLがスタートを切る。

 ≪順位決定の際は対戦相手成績も考慮≫1次リーグで勝ち点が並んだ場合の順位決定は全8試合が対象の(1)得失点差(2)総得点(3)アウェーゴール数(4)勝利数(5)アウェー勝利数が優先。対戦8クラブの(6)総勝ち点(7)得失点差(8)総得点が続き、当該チームの(9)選手とスタッフの懲戒ポイントの少なさ(退場3点、警告1点、警告2度による退場3点)(10)UEFA係数によるランキングで決まる。4チーム総当たりで争われた従来は(1)~(3)で直接対決の結果が重視されたが、各チームによって相手が異なる新方式は対戦相手の成績が考慮される新たなアプローチとなっている。

 ≪同一リーグ勢とは対戦回避≫1次リーグの組み合わせ抽選は前回王者Rマドリードと過去5季の実績に基づくUEFAクラブランキング上位から順に36チームが4つのポットに分かれた。各ポットから2チームずつ組み合わせることで公平性を保ち、同一リーグ勢とは対戦回避。3チーム以上参加のイングランドなど上位リーグ勢との対戦は各国最大2チームに制限された。POは9~16位がシードされて第2戦をホームで17~24位と対戦。決勝トーナメントは1~8位がシードされる。

 ≪EL以下も移行 久保、毎熊、町田が出場≫欧州CLの下位大会になる欧州リーグ(EL)と欧州カンファレンスリーグ(UCL)も今季から4増の36チーム1リーグ制に移行。ELはCLと同様に異なる8チームと戦い、日本人はRソシエダードの久保建英、AZアルクマールの毎熊晟矢、サンジロワーズの町田浩樹が出場する。UCLでは異なる6チームと対戦。日本人所属クラブでは渡辺剛、シュミット・ダニエル、伊藤敦樹のヘント、小田裕太郎のハーツ、田中亜土夢のHJKヘルシンキ、森下龍矢のレギア・ワルシャワ、小杉啓太のユールゴーデンが出場する。

 ≪アジアも様変わり 16日開幕ACLE≫アジア最強を決める大会も今季から様変わりする。最上位大会は「アジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)」と改称されて16日に開幕。欧州カップ戦とは逆に参加数を従来の40から24に絞り込むことで質の向上を図り、一方で優勝賞金は昨季の400万ドル(約5億7000万円)から2・5倍の1000万ドル(約14億3000万円)に引き上げられて大会の価値を高める狙いがある。

 日本は昨季J1王者の神戸、同2位の横浜、天皇杯覇者の川崎Fが出場。24チームが東西に分かれ、1次リーグはホームとアウェーで4試合ずつ異なる8チームと対戦し、各地区上位8チームが決勝トーナメントに進む。

 新設された下位大会の「アジア・チャンピオンズリーグ2(ACL2)」には昨季J1で3位の広島が出場。東西32チームが8組に分かれて競う1次リーグを経て、16強が決勝トーナメントを戦う。

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