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中村俊輔 引退会見で語った指導者の夢 世界に通用するファンタジスタ育てたい

[ 2022年11月11日 04:40 ]

笑顔で引退会見する中村(撮影・白鳥 佳樹)
Photo By スポニチ

 今季限りの現役引退を発表したJ2横浜FCの元日本代表MF中村俊輔(44)が10日、横浜市内のホテルで引退会見を行った。日本代表やスコットランド・プレミアリーグのセルティックで一時代を築いた天才レフティーは、終始笑顔。26年間のプロ生活を振り返り、今後は指導者として世界に通用するファンタジスタ育成に意欲を示した。また、W杯カタール大会に臨む森保ジャパンにもエールを送った。

 ファンタジスタの夢は、ファンタジスタの育成だった。右足首の故障の影響もあり、惜しまれつつスパイクを脱いだ俊輔は、晴れ晴れとした表情で壇上に上がると「小学生から教わった先生や、指導者の方々が自分にしてくれたこと、支えてくれたことを、自分が指導者としてやることで、少しでも恩返しになるかな」と今後のプランを明かした。

 目指すは世界に通用する、創造性あふれるプレーヤーの育成だ。理想の監督像について「まだまだいろんなことを勉強しないといけないので、今のところはない」と強調。一方で、自身の系譜を継ぐファンタジスタの名前を問われると「小野伸二」と即答し「(ピッチの)中央は、プレッシャーが全方位から来るポジション。今後またそこに凄い選手が出てきて、必要とされることもあると思う。そういう選手をつぶさないようにしていきたい」と続けた。

 俊輔と小野はともに華麗なパスやドリブルを得意とする、ひらめきで局面を打開できるタイプの司令塔。日本代表で長い間背番号10を背負った俊輔は、トップ下に強いこだわりを持ち続けた。近年は強度が高く、縦に速いサッカーが主流。ファンタジスタはなかなか居場所を見つけられないが「今の時代という言い方は、あまり好きじゃない」とし、世界でもレアな存在となったタイプの選手を育成したい方針を示した。

 この日は、20日に開幕するW杯カタール大会に臨む森保ジャパンに「大きなケガはしないで頑張ってほしい。次世代のために、日本のために頑張ってもらえればなと思います」とエールも送った。俊輔は06、10年と2度のW杯出場。「両大会とも結果を出せずに終わってしまいましたけど、自分の力のなさを気づく場所でもあった」と振り返り、貴重な経験を第二のサッカー人生で生かす考えも示した。俊輔の頭には既に、自身が育てたファンタジスタがW杯で活躍する姿が描かれているのかもしれない。

 ◇中村 俊輔(なかむら・しゅんすけ)1978年(昭53)6月24日生まれ、横浜市出身の44歳。97年に桐光学園から横浜M(当時)入り。02年7月にレジーナ(イタリア)移籍。05年7月に移籍したセルティック(スコットランド)で数々のタイトルを獲得。09年6月にエスパニョール(スペイン)に移籍し、10年2月に横浜復帰。17年から磐田でプレーし、19年7月にJ2横浜FCに加入した。00、13年にJ1でMVP。日本代表は98試合24得点。W杯は06、10年に2度出場した。1メートル78、71キロ。利き足は左。

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2022年11月11日のニュース