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野々村Jリーグチェアマン 夏休みには全国で声出し応援目指す「サポーターの熱量が必要」

[ 2022年6月25日 04:00 ]

軽快なリフティングを見せるJリーグの野々村チェアマン
Photo By スポニチ

 今年3月15日に第6代Jリーグチェアマンに就任した野々村芳和氏(50)がスポニチの単独インタビューに応じた。歴代最年少、Jリーガー出身者では初めてトップの座に就いた野々村チェアマンには大きな注目が集まっている。着任から3カ月がたち、Jリーグの現状をどう見ているのか。そして、今後の構想について聞いた。(取材・構成 福永稔彦、大西純一)

 ――野々村チェアマンは常々「フットボールは作品」と話している。どういう考え方なのか。
 「ピッチ上のレベル、スタジアムのスペック、サポーターの熱量という3つの要素があって1つの作品になる。ピッチ上のレベルが高いと見ている人は楽しい。スタジアムに関しては(施設の)スペックだけでなく、出し物や、お祭りみたいな雰囲気とか“毎週末そこに行きたい”と思えるものがあることが重要。そして本当に良い作品にはチャント(応援歌)を含めたサポーターの熱量が必要」

 ――就任してからの3カ月間で多くの試合も視察してきた。印象に残る出来事は?
 「(5月15日に)J3の信州ダービー(長野―松本)を見に行った。約1万5000人(収容)のスタジアムが長野と松本のサポーターで満員になって、声は出せないけど、素晴らしい雰囲気だった。あの雰囲気の中だと選手は必死で戦う。良い作品ができれば、ピッチ上のレベルも上がるのだということを実感した。J1の方がレベルは高いかもしれないが、他の要素も含めると、J3の試合の方が素晴らしい作品だったりする。その地域に合った良い作品をどう作っていくか。それにはサポーターをどう増やすかだと思う」

 ――良い作品に声出し応援は不可欠。6月には声出し応援の運営検証が始まり、野々村チェアマンも6月11日のルヴァン杯・鹿島―福岡戦(カシマ)を視察した。
 「ゴール裏にいたけど、試合が始まった時には涙が出ましたね。鹿島の関係者も(声出し応援エリア内は)約1000人だから声の質は違うけど、これだけの人数でもこんなに声が出るんだと驚いていた。拍手のボリュームも50%増しだったとか。それからマスク着用率がびっくりするような数字(99・7%)だった。コロナ禍で、サッカーやJリーグを守っていこうというサポーターの一体感はより強くなったのではないかと思った」

 ――声出し応援の運営検証は残り6試合。次のステップではエリア内の人数を3000人から7000人へ増やす。その後、希望する全てのクラブがガイドラインに基づき声出し応援エリアを導入できるよう進める方針。現在の入場制限では声出し応援がある場合、収容人員の50%しか観客を入れられないが、今後の展望は?
 「ステップ2の運営検証試合では、声出し応援エリアの席の配置を市松模様にして50%の観客を入れる。(政府の入場制限が緩和されて)声出し応援エリアは50%、それ以外は100%の(観客が入る)状態に持っていけるかが次のステップ。そうなればコロナ禍前のスタジアムに近い雰囲気になる。僕の思いとしては夏休みに間に合ってほしい。夏休み前にはCMを打とうと思う。夏休みを(観客増の)きっかけにしたいので、その時の応援スタイルは重要」

 ――Jリーグの将来像についてはどんな構想を持っているのか。
 「世界の中でも魅力的だと多くの人が思うようなリーグにならないといけない。そのためにサッカーの強さでも、人気面でも、日本を引っ張ってくれるクラブが5チーム、6チーム出てきて、切磋琢磨(せっさたくま)していってほしい。そうなればナショナルコンテンツとして成立する。一方で、それぞれの地域にJクラブがあって、その地域の人たちを幸せにする存在になっていってほしい。そういうクラブが全国にあれば、サッカーで世の中を良くすることができるかもしれない」

 ◇野々村 芳和(ののむら・よしかづ)1972年(昭47)5月8日生まれ、静岡県出身の50歳。小学1年時にサッカーを始める。清水東―慶大出。95年市原(現J2千葉)入り。00年札幌移籍。01年現役引退。13年札幌社長就任。今年3月Jリーグチェアマン就任。

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