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風間八宏氏が取り組むC大阪の「スペトレ」、人材輩出へ「世界にもないものを今、つくっている」

[ 2022年3月16日 07:00 ]

C大阪スポーツクラブ・技術委員長に聞く

C大阪スポーツクラブの技術委員長に就任した風間八宏氏(C)CEREZO OSAKA SPORTS CLUB
Photo By 提供写真

 高校2年生にしてC大阪U―18からトップ昇格したFW北野颯太(17)が、2日のルヴァン杯鹿島戦でプロ初ゴールを決めた。育成型を掲げるクラブから新たな有望株が出てきた中で、アカデミー部門などを統括するC大阪スポーツクラブで技術委員長を務める風間八宏氏(60)が現状を語った。

 「(育成部門は)たくさん変化はしたと思う。一つは、指導者の目が今までと違うポイントを見られるようになった。例えば“止める蹴る”を0・5秒で試合中にやるとき、どれが成功でどれが失敗なのか。見えないと子どもたちの指導にはつながらないし、見えれば的確なアドバイスができて、選手も“こんなことができるの?”と吸収できる」

 指導者の質を上げることで、選手の質も上げられる。「(選手の)変化は感じられるけど“これで良い”はない」。常に成長を追い求め、就任当初から新たな取り組みにも着手してきた。コロナ禍でもあり、やっと昨年7月から始められたのが特別トレーニング、通称「スペトレ」。C大阪アカデミーに所属する小学生から高校3年生、そしてレディースの選手たちの計40人程度が選ばれ、一緒に練習する垣根を越えた取り組みだ。

 「一つは、自分でモノを考えるようになる。高校生から見て、横にいるのが高校生か中学生か小学生かで出すパスも違う。小学生が高校生と勝負するなら、身体やスピードでは勝てないけど、相手の逆を突くことを覚えると技術も高くなる」

 実際にトップ昇格を果たした北野も、「スペトレ」に参加していた。一方で「17歳でプロになって“早いよね”じゃなく、その年で活躍しないといけない。もっと得点を取らないといけない」と語る風間氏。アカデミーの枠にとらわれず、C大阪というクラブ全体で考えている。

 「セレッソが自前で選手を循環できる仕組みをつくらないといけない。“トップの選手が足りないならユースから上げますよ”と。トップの問題に対して、みんなで取り組む組織にする。日本にないもの、世界にもないものを今、つくっている」

 トップ、そして世界へと羽ばたく人材を輩出するため、まだまだ挑戦は続く。(西海 康平)

 ◇風間 八宏(かざま・やひろ)1961年(昭36)10月16日生まれ、静岡県出身の60歳。清水商、筑波大を経てドイツのクラブや広島などに所属し、日本代表でもプレー。現役引退後は桐蔭横浜大や筑波大、川崎F、名古屋の監督などを歴任。昨年1月にC大阪スポーツクラブの技術委員長就任。

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