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J2降格の大分 王者・川崎F撃破、立役者はGK高木!古巣相手に活躍「等々力だといいプレーできる」

[ 2021年12月13日 05:30 ]

天皇杯準決勝   大分1-1(PK 5-4)川崎F ( 2021年12月12日    等々力 )

<川崎F・大分>GKの高木(左)と片野坂監督がサポーターの前で踊りだす(撮影・篠原岳夫)
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 準決勝2試合が行われた。来季J2に降格する大分が、リーグ戦との2年連続2冠を狙った王者の川崎Fを破る大番狂わせを演じ、九州のJクラブとして初の決勝に進出した。1―1でPK戦に入り4―4の7人目で大分が決め、GK高木駿(32)が相手を止めて激闘に終止符を打った。降格チームがリーグ覇者を撃破したのは01年に鹿島に勝ったC大阪以来2チーム目。19日、国立競技場での決勝でC大阪を2―0で下した浦和と対戦する。

 降格チームがJ1覇者を倒す大金星を挙げた。大分が5―4と先行したPK戦。相手7人目のキックを守護神・高木が止めた。体は左に反応しながらも右手1本で完璧にセーブ。その瞬間、漫画のような“ジャイアントキリング”で初の決勝進出が決まった。

 試合前、サプライズを予言していた片野坂知宏監督(50)は、劇的な幕切れに両手で拳を突き上げたまま後ろ向きでピッチに倒れこむと、その上に次々とスタッフたちが折り重なった。「まさか絶対王者の川崎さんに勝って決勝に行くっていうのは、私自身もちょっと信じられない状況」と、指揮官は目を潤ませた。降格チームがリーグ覇者を撃破したのは01年に鹿島に勝ったC大阪以来2チーム目の快挙だ。

 粘りに粘って無失点で耐え抜いていた延長後半8分、ついに先制されたが諦めなかった。同16分、下田が前線に送ったクロスをDFトレヴィザンが頭で起死回生の同点弾。「クロスが来ると信じて飛び込んだ」。執念のPK戦に持ち込むと勢いそのままに制した。

 この日、古巣相手に好セーブを連発した高木はPK戦でも3本をストップ。勝利の立役者は「等々力だといつもいいプレーができる。調子がいいときは体と目と予測がうまくかみあう。みんなで勝ち取れた。ずっと0点で抑えたことで失点しても最後の最後で1点返せたのが大きかった」とうなずいた。

 ベースだった3バックを変更し戦略的4バックで勝負した。前線も含めた守りで猛攻に耐え、相手エース・ダミアンにCBトレヴィザン、ペレイラが仕事をさせなかったのも大きかった。攻守で奮闘したトレヴィザンは「全員で一丸となって勝利することができてうれしい。ユニホームに(優勝の)星を刻めるように頑張りたい」と話した。

 高木は「来季はJ2で戦うが優勝することができれば確実に大分の未来につながる」と力を込める。指揮官は「感謝の思いを決勝戦で思いっきりぶつけて、われわれらしい戦いで最高の結果で」と力を込めた。J2降格チームが天皇杯で優勝したことはない。19日、頂点をかけて浦和との決戦に挑む。

 《初の快挙なるか》来季J2に降格する大分が初の天皇杯決勝進出。J2に降格するチームの決勝進出は01年度C大阪、07年度広島、12年度のG大阪に次ぎ4チーム目。いずれも決勝は敗れており、大分には初の優勝が懸かる。なお、J2の決勝進出が過去3チームあり、11年度はJ1昇格を決めていたFC東京が優勝している。また、J1優勝チームとJ2降格決定チームの対戦では、01年度の鹿島がリーグ優勝決定後、降格が決まったC大阪に準々決勝で敗れたケースがある。ほかに04年度横浜が当時JFLの草津(現J2群馬)に5回戦で金星を許した例もある。

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2021年12月13日のニュース