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佐々木則夫氏、熊谷の強さを語る 珍しい左足シュート、技術が上がった証拠

[ 2020年9月1日 05:30 ]

女子欧州CL決勝   リヨン3―1ウォルフスブルク ( 2020年8月30日 )

左足を振り抜いてミドルを沈めた熊谷(AP)
Photo By AP

 サッカー女子の欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝戦が30日、スペインのサンセバスチャンで行われ、日本代表主将の熊谷紗希(29)が所属するリヨン(フランス)がウォルフスブルク(ドイツ)に3―1で勝利し、史上初の5連覇を達成した。ボランチとしてフル出場した熊谷は前半終了間際に左足でミドルシュートを決め、男女を通じてアジア人としてCL決勝で初ゴール。熊谷を代表に抜てきした前なでしこジャパン監督で、本紙評論家の佐々木則夫氏(62)がその凄さを語った。

 ゴールが熊谷の成長を象徴していたと思う。前線の選手が戻したボールを左足で決めたが、角度が良く、伸びのあるシュートだった。熊谷が左足でシュートするのは珍しい。技術が確実に上がった証拠だろう。

 私がなでしこジャパンのコーチ兼U―18監督をしていた時に、高校2年生だった彼女をA代表の練習に加えてもらった。技術的には他にも上手な選手はいたが、ものおじせずにプレーしていたし、先輩にも「こうしてほしい」と要求していた。当時から、将来はなでしこの軸になると感じていた。

 キックの種類は少なかったが、フィード時に「中から外に逃げるボールは相手が取りにくい」と教えると、すぐに身につけていた。順応力、向上心もあった。11年W杯ドイツ大会で優勝したとき、決勝(米国戦)のPK戦の最終キッカーにちゅうちょなく指名したのは、メンタルの強さを認めていたから。男子の代表で言えば長谷部のような存在だ。

 高校の時からバスの中で宿泊して遠征するなど、厳しい環境の中でサッカーを続けてきて経験もある。だからこそ今でも努力を怠らないし、世界中からいい選手が集まるリヨンで中心選手としてプレーできていると思う。来年はバロンドールのチャンスも十分にあると思っている。 (前なでしこジャパン監督)

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2020年9月1日のニュース