×

「女子サッカーのまち」宣言、佐賀・みやき町U15クラブチーム4・1始動

[ 2020年3月21日 05:30 ]

しゃがみこんで熱心に選手を見る海堀さん(左から2人目)
Photo By スポニチ

 佐賀県みやき町が、全国初の「女子サッカーのまち」を宣言し、新たに誕生するU―15(15歳以下)のクラブチームが2020年4月1日から始動することになった。女性の活躍や町民の「健幸長寿」を理念に掲げる同町のシンボル的な存在として、活性化につなげたい考えだ。

 人口約2万6000人の佐賀・みやき町が、前例のない壮大なプロジェクトをスタートさせる。自治体で全国初の「女子サッカー推進室」を町役場に設置。スポーツ政策を専門とする会社「リタジャパン」(東京)と連携協定し、一般社団法人「みやきスポーツコミッション」(みやきSC)を立ち上げた。

 同社の研究員で、2011年サッカー女子W杯で世界を制した元日本代表“なでしこジャパン”GK、海堀あゆみさん(33)が「町スポーツ政策ディレクター」に就任し運営に関わる。

 リタジャパンの社長で佐賀県大町町出身の野口必勝氏(42)は「日本の女子サッカーはU―15の受け入れ先が一番の課題。続ける場所がなくて競技を諦める子も多い。みやき町に来ればずっと続けられる環境を与えたい」と話す。自身も佐賀商、北九州市立大でプレーした元選手。早大大学院でスポーツ科学の修士号も取得している。

 当面は既存グラウンドを使用。22年度の供用開始を目指す人工芝グラウンドの新設にも取りかかる。スポーツジムや診療所、薬局、リハビリ、鍼灸院など健康関連施設が入居する「メディカルコミュニティセンター」も同じ敷地内に設営する。

 末安伸之町長は「サッカーで夢を追う後押しをしたい。クラブ、選手たちには町の人たちと関わりながら、身近な存在としてさまざまな分野で活躍して力になってほしい」と青写真を描く。今後はU―18、21などカテゴリーを増やしていく予定で、高校や大学、専門学校と協力して資格取得など教育も充実させる。

 「現状、女子サッカーは年収も低く引退後が大変。安心して思い切り競技に打ち込んで、引退後はみやき町で働いてくれれば」と同町でのセカンドキャリアも視野に入れる。

 選手のセレクションはみやき町で3回行われた。初年度は「佐賀県内の選手」を対象に募集。海堀さんは「試合に出られる条件の8人が集まらなかったらどうしよう、と思っていた」と心配していたが、多数が参加し「良かった」と目尻を下げた。選手は20人前後になる予定。「このクラブを通して人間力を高めていってほしい。地域の人に応援されるだけじゃなくて、こちらからも地域に返していく活動をしたい。やるしかない」と意気込む。

 女子サッカーを旗振り役にした官民連携事業のロールモデルとなれるか。注目される。
 

続きを表示

2020年3月21日のニュース