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ハリル体制ではNG…“ゆとり調整”実現させた外国人ゼロ組織「オールジャパン」

[ 2018年7月6日 09:30 ]

検証 西野ジャパン功罪(3)

<日本代表帰国>花束を手にサテライトを歩く西野監督(撮影・大塚 徹)
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 「オールジャパン」。4月12日の西野監督の就任会見以降、日本協会の田嶋会長が何度も口にした言葉だ。ハリルホジッチ前監督の解任に伴い、3人の外国人コーチとの契約も解除。10年W杯南アフリカ大会で16強入りした岡田体制以来の外国人ゼロ組閣となったがこれが吉と出た。

 最も好影響が出たのがコンディション調整。ハリル体制ではモワンヌ・フィジカルコーチと早川コンディショニングコーチが意見交換し、練習強度やオフのタイミングを指揮官に進言していた。14年W杯ブラジル大会は事前合宿でハード練習を課し、ピーキングに失敗。早川コーチは合宿中の練習量を落とすことを提案していたが、前監督に聞き入れる様子はなかった。

 説得のために数十ページに及ぶ資料を作成。その矢先に監督交代が決まると、西野監督にはすんなり受け入れられた。試合後2日間は原則リカバリーに充て、効果的なタイミングで休日を入れる“ゆとり調整”が実現した。

 1次リーグ第3戦ポーランド戦は、第2戦セネガル戦から気温が10度近く上昇した。早川、和田コーチらは06年W杯ドイツ大会オーストラリア戦で試合当日の急激な気温上昇を経験しており、大会前から各試合の気象条件を細かくチェック。選手にあらかじめ情報を与え、練習時間を最も暑い日中に設定するなど心身の準備を促した。6大会連続W杯出場中の日本の英知を結集した成果だった。

 ベルギー戦翌日、ベースキャンプ地カザンで行われた最後のミーティング。田嶋会長は選手、コーチ陣の前で言った。「5年後、10年後、20年後、どんな立場になってもサッカーを続けていてほしい。この経験は大きな財産。蓄積していくのがサッカー協会の役目となる」。ダイバーシティー(多様性)が叫ばれる昨今、一部では時代錯誤と批判されたキーワードが躍進を後押ししたことは紛れもない事実だ。

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2018年7月6日のニュース