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一貫して攻撃的サッカーを掲げる川崎F 観客動員も好調

[ 2016年6月24日 11:15 ]

ゴールを決め、イレブンに祝福される大久保(左から2人目)

 今季、好調の川崎Fは、攻撃的なスタイルで観客動員も好調だ。「取られたら、取り返す」サッカーは、スペインのバルセロナやレアル・マドリード、ドイツのバイエルンMやドルトムントなどに通じるものがある。

 風間監督のサッカーは短いパスを正確につなぎ、ボールの保持率を上げて、積極的に攻撃する。相手にボールを渡さなければ、失点することはない。パスは距離が近いほど精度が高まり、相手に奪われる可能性が低くなる。そして、正確に蹴る、止める技術が求められる。さらにどこにパスを出すか、瞬時の判断が求められるので頭も使う。

 川崎Fは96年のクラブ創設時からほぼ一貫して攻撃的サッカーを掲げている。「フロンターレ」という愛称も、イタリア語で「前へ」という意味で、攻撃的なサッカーを象徴している。勝利を優先し、守備を固めて失点を防ぐサッカーを取り入れるチームも多いが、川崎Fはぶれていない。関係者によると、富士通サッカー部時代に「サッカーは点が入らなくて面白くない」と言われ、プロ化の際に「攻撃的サッカー」を掲げるきっかけになったという。

 関塚監督も高畠監督も相馬監督も積極的な守備からボールを奪い、攻撃につなげるアクションサッカーだった。これをさらに進化させたのが12年4月に就任した風間監督で、「点は取れるが、攻撃が何か、わかっていない。基礎から作ってほしい」と、要請されて、チームを進化させた。

 例外は01年途中から03年まで指揮を執った石崎監督で、相手の長所を消すリアクションサッカーだった。相馬監督時代にも勝利から長期間遠ざかった時、守備的サッカーを模索しようとしたこともあったが、風間監督に交代して攻撃サッカーに戻った。

 「お客さんも面白ければまた見に来てくれる。試合で勝てばお客さんは満足するが、感動してはくれない」と、庄子春男GMは言う。川崎Fの強化担当者は小浜誠二氏、福家三男氏、庄子氏らが担ってきたが、小浜氏と福家氏は、現役時代はGK、庄子氏はDFと守備の選手。「だからこそ、攻撃的なサッカーを指向する」と、いうのも面白い。

 このサッカーは今後も変える予定はないという。風間監督が就任した翌年の13年からアカデミーも風間スタイルにし、クラブの統一スタイルになった。昨年、トップチームに昇格した三好や板倉が違和感なく溶け込めるのもユースでトップチームと同じサッカーをやっていたからだ。風間監督はクラブ全体がレベルアップするように、下部組織のコーチにもトップチームの練習を見るように勧めている。そうすることで、自分たちの立ち位置が確認できる。

 2~3年後にアカデミーから好素材がトップチームに昇格するようになる。その頃、川崎Fは新たな時代を迎えるはずだ。(記者コラム・大西 純一)

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2016年6月24日のニュース