×

アギーレ船出を評論家4人が分析…加茂氏「堅守速攻の意図見えた」

[ 2014年9月6日 11:32 ]

<日本・ウルグアイ>後半、スタンドの声援に応えるアギーレ監督

親善試合 日本0―2ウルグアイ

(9月5日 札幌D)
 アギーレ新監督の下、4年後のW杯ロシア大会へスタートを切った日本代表。初陣となったウルグアイ戦から見えた新生ジャパンの目指すサッカー、その可能性について、スポニチ本紙評論家4人が分析した。

 ◆元日本代表監督・加茂周氏 無得点は残念だが、練習時間が少ない割には、チームとしてまとまっていた。堅守速攻の意図もはっきり見えていた。代表監督は就任すると、まず選手個々がどんなプレーをするか自分の目で確かめる。同時に監督のやりたいサッカーを伝えてその浸透度を見る。所属チームと違う位置でプレーする選手もいるので最初はフィットしない。そのためにこの試合は選手が監督から指示された守備を意識しすぎて、前に攻め上がる回数が少なくなったのかもしれない。ただ、失点の場面以外は狙いどおりだったと思う。2列目からの飛び出しも、田中が前半35分ごろから前へ行くようになり、監督が求めている動きになっていた。初選出の皆川も前半17分にヘディングシュートしたが、ウルグアイのDFに競り負けないところは収穫だ。

 ◆元ジェフ市原強化部長・川本治氏 負けてしまったが、新チームの門出としては良かった。坂井、皆川ら新戦力を積極的に起用して新生日本代表の姿勢を示すことができたからだ。前任者のザッケローニ監督は新しく招集した選手をあまり使おうとしなかったが、アギーレジャパンでは誰にでも出場のチャンスがあることを実証した。坂井はミスをして失点に絡み、皆川は決定的なシュートを外した。だが“やれる”と感じた部分もあったはず。ベンチで見ていた選手も刺激を受けたと思う。チーム内の競争を促す上で大きな効果があると思う。またFW本田が自陣まで戻って守る場面が何度か見られたように「全員で守って全員で攻める」戦い方をした点にも好感が持てた。ザッケローニ監督時代は途中からあいまいになっていたが、原点に戻った印象だ。 

 ◆元日本代表FW・小倉隆史氏 「うーん」とうなりたくなる試合だった。正直、今後に向けて期待よりも不安が大きくなった。守備の意識の高さは感じた。ボールを奪われたらすぐ自分のポジションに戻り4―3―3の形でブロックをつくろうと徹底していた。ただ、それでも失点しているのだから、このままで良いのかという疑問は残る。攻撃ではザックジャパンで見せたテンポの良いパス回しが見られなかった。システム変更の影響で選手の距離感が変わったことが一因だろう。新しいメンバーが加わり連係が不十分で(出し手、受け手以外の)3人目の動きも少なかった。選手個々の特長も生かし切れていなかった。岡崎は左FWで先発し、1トップ、2トップの一角と役割が変わったが、ダイアゴナル(ゴールに向かって斜め)に走る本来の良さが消えていた。 

 ◆元日本代表FW・城彰二氏 人数をかけて守り、機を見てカウンターで攻めようというサッカー。システムも相手が疲れてくると4―3―3から4―4―2にするなど戦い方の一端も見せた。この試合は勝敗以上に「アギーレがどういうサッカーをするか」を示すことが大事だと思っていたが、それが明確に伝わった。前半25分に本田が自陣ゴール前で相手DFと競り合ってクリアしたが、本田と岡崎の位置は守備と運動量が求められている。2人ともウカウカできないし、今回招集されなかった選手も指針が分かり、次回の招集へいいモチベーションになる。攻撃は、全体が2ラインになる場面があり、最終ラインから前線へパスがつなげず、ロングボールに頼る場面があった。遠藤のようにキープできる選手がいればタメがつくれて攻撃も違ってくるだろう。

続きを表示

この記事のフォト

2014年9月6日のニュース