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完敗…だが「プレスバック」「ダイレクトプレー」に変化実感

[ 2014年9月6日 06:30 ]

<日本・ウルグアイ>指示を送るアギーレ監督
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親善試合 日本0―2ウルグアイ

(9月5日 札幌D)
 この1試合でアギーレ監督の全てが分かるはずはない。しかしチーム作りのヒントは隠されている。守備で言えば「プレスバック」、攻撃で言えば「ダイレクトプレー」。そこに新指揮官が目指すサッカーがどんなスタイルなのかを解き明かす鍵があるように思う。

 「プレスバック」とはボールを持った相手選手を追いかけて味方と挟み込むようプレッシャーをかけることだ。何も珍しいプレーではない。「全員守備」を掲げたザックジャパンでもやっていたのだが、チーム作りの過程で意識が希薄になった。そしてW杯ブラジル大会ではコンディションの悪さもあり抜かれた選手が相手を追いかけずにそのまま残っていることが多かった。その結果、DFは1対1になるなど苦しい対応を迫られた。

 しかし、ウルグアイ戦ではFWの本田や岡崎がボールを持った相手選手を追いかけて自陣まで戻り体を寄せて味方と協力してボールを奪ったり、相手をつぶしたりする場面が見られた。ミスから2点は失ったものの、チーム全体に高い守備の意識を感じた。その一因はこの「プレスバック」にあるのだと思う。

 アギーレ監督は8月11日の就任会見で「守るのは守備陣だけの話ではない。FWにもMFにも同じことを求めたい。ボールを相手から奪い、貢献することを私は求めている」と話していた。その意識付けが進んでいることを印象付けた。

 「ダイレクトプレー」は手数をかけずシンプルにDFラインを崩しゴールに結び付けるプレーを言う。ザッケローニ監督はボールポゼッションを重視し、ショートパスを主体とした攻撃を目指した。確かにそれは日本人の持つ技術の高さ、俊敏性を生かすスタイルではある。しかしパスを何本もつなぎ手数をかければ、その間に相手は帰陣して守備の陣形を整える。結果的にシュートチャンスを作るのが難しくなる。逆に「ダイレクトプレー」は相手の陣形が整わないうちにボールを相手ゴール前に送るから得点の可能性が高まる。

 ウルグアイ戦の日本代表は縦にボールを入れようとする傾向が強かった。合宿で培われたものかどうかは分からない。新たなメンバーが入ったため、連係不足でパスの出しどころが見つからず、やむを得ずロングボールを蹴ったという見方もできるだろう。それでも後方に下げるよりは「前に」という意識が働いていたのではないか。

 アギーレ監督が試合後に「(ボールを)持った時には、もう少し速く動かす必要があった」と指摘したことからも、ボールを奪ったら素早く動かしてゴール前に攻め入るというコンセンサスがチーム内に築かれるのは間違いないだろう。

 0―2の完敗。内容も決して褒められたものではない。それでも日本代表が変わり始めたことは実感できた。

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2014年9月6日のニュース