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柿谷 初の3戦連発 PKなし14得点はJ1最多タイ

[ 2013年8月25日 06:00 ]

<名古屋・C大阪>後半42分、柿谷はゴールを決め、サポーターの前で杉本(左)と抱き合う

J1第22節 C大阪1―1名古屋

(8月24日 瑞穂陸)
 柿谷が“らしい”一発を決めた。0-0の後半42分、DF藤本の長いスルーパスに抜け出した背番号8が、絶妙のフェイントでGK楢崎のアプローチをかわす。一度はよろめきながらも抜群のバランス感覚で体勢を立て直し、左足でゴールに流し込んだ。

 ワンチャンスに懸けていた。0-0の後半42分、DF藤本がセンターライン付近でボールをカットした瞬間に、柿谷が一気に縦へと走り出す。予想通りの長いスルーパスが藤本から届き、元日本代表GK楢崎と1対1の局面を迎えた。「ナラさんが間合いを詰めてて“やべえ”と思ったけど…。しっかり打てた」。この試合で唯一といっていい決定機。冷静な切り返しで左へとかわし、一度はよろめきながらも抜群のバランス感覚で立て直し、自身初となる3戦連発弾を左足で流し込んだ。

 その1分後、名古屋の矢野に同点弾を食らったが、これで今季の通算ゴール数は14となり、得点ランクの4位タイに浮上した。PKを除いた数字で見れば、首位の川崎Fの元日本代表FW大久保と並んで最多だ。常々、「嘉人さんが決めたら悔しいけどうれしい」と話すC大阪の先輩と再び肩を並べた。

 視察に来ていた日本代表のザッケローニ監督は、柿谷がゴールを奪う前にスタジアムを後にしていたため、“肩透かし”を食らう形となった。それでも、名古屋守備陣に苦しめられながら、最後の最後にゴールをこじ開け貴重な勝ち点をチームにもたらした。今月18日にヤンマーディーゼル(現ヤンマー)の山岡淳男元社長(享年87)が肝不全で死去。チームの前身であるヤンマー・サッカー部を支えてきた3代目社長をしのび、左腕には黒い喪章を巻いて走り続けた。

 鹿島に抜かれチームの順位は5位に後退したものの、首位広島とは勝ち点7差。「勝ちきらないといけなかったけど、上との差が縮まったことを前向きにとらえたい」。日本代表の名に恥じない決定力を見せつけたエースは、頂点だけを見据えて戦い続ける。

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2013年8月25日のニュース