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“カズ門下生”Jリーガー引退…ボートレーサーへ異例の転向

[ 2012年12月28日 06:00 ]

12月上旬にあった特別試験で、試験に臨む朴康造

 サッカーの元韓国代表MFで神戸でも活躍した朴康造(パク・カンジョ)(32)が今季限りで引退し、ボートレーサーを目指すことになった。27日、神戸と日本モーターボート競走会が発表した。朴康造は98年に京都に入団し、00年には韓国代表にも選出。03年から所属している神戸では、クラブの顔として活躍していた。来季の契約延長の話もあった中で自らの夢を追求することを決断。カズの門下生とも言われる32歳が、戦いの場をピッチから水上へ移した。

 代表歴もあるプロサッカー選手が異例の転身を決断した。朴康造はこの日、クラブを通じてコメントを発表。「(神戸を)J2に落として、このような形で引退することになり本当に申し訳なく思っています。でも自分のもう一つの夢であるボートレーサーになるチャンスは、年齢的にも最後だと思い、挑戦しました」と表明した。

 尊敬してやまないキングに背中を押してもらった。実は1週間前に、J2横浜FCのMF三浦知良(45)に心境を吐露していたという。幼いころから憧れていたカズとは98年、京都でプロのキャリアをスタートさせてから15年の付き合い。別のチームにいても迷えばいつも会いに行った。

 18日、神戸市内某所。その時点で試験結果は発表されていなかったため「引退することになるかもしれないんです。ボートレースの道に進む可能性が高いです。そうなっても、応援してください」と打ち明けた。すると、カズは「おまえは稼ぐとこいくなぁー!応援するよ」と笑いながら話したという。

 転機は2年前だった。兵庫県尼崎市出身で、実家の近くにはボートレース尼崎があったが、ラジオ番組で知り合ったレーサーの金子龍介と親交を深めると、その魅力にとりこになった。神戸からは来季の延長オファーも受け、心は揺れたが、選手寿命が長いことも決め手になった。「30歳を過ぎてセカンドキャリアを考えるようになった。(自分は)指導者には向いていないかもしれない。ボートはサッカーと同じで実力勝負の世界。今年は最後のチャンスだと思った」

 Jリーグでの実績も考慮され、優秀なスポーツ選手を対象とした特別試験枠で合格。4月にはレーサー養成施設「やまと学校」(福岡県柳川市)に入学し、順調にいけば、14年5月にボートレース尼崎でデビューする。カズも「サッカー界で培ってきた精神力をボート界でも発揮してください。ボア ソルチ(ポルトガル語で幸運を祈るの意味)」と激励した。

 ボートレースは軽量が有利な競技と言われ、1メートル66、54キロの体形を生かすには格好の舞台。「ボートで成功して体の小さい選手のセカンドキャリアの道を示したい」。身体能力と切れのあるプレーでサポーターを沸かせたカズ門下生が、水上への戦いへ旅立った。

 ▽朴康造(パク・カンジョ)1980年1月24日、兵庫県出身の32歳。在日韓国人3世。尼崎朝鮮初中級学校から滝川二高に進み、98年に京都に入団。00年に韓国・城南一和に移籍。神戸では03年からプレー。00年に韓国代表入りし通算5試合1得点。J1通算では209試合20得点。J2では通算43試合10得点。Kリーグ(韓国)通算69試合2得点。1メートル66、54キロ。ポジションはMF。

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