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理想と決別 ロッベン「“いいサッカーだね”は意味がない」

[ 2010年7月11日 13:17 ]

決勝の公式練習で軽快に動くオランダのロッベン(中央)とファンマルウェイク監督(右)

 11日のW杯決勝(ヨハネスブルク・サッカー・シティー)は、ともに初優勝を目指すオランダとスペインが激突する。オランダのMFアリエン・ロッベン(26=バイエルンM)は内容より勝負にこだわることを宣言。同国史上最高の選手といわれるヨハン・クライフが築いた“美しいサッカー”という伝統のスタイルを封印して、華麗なパスサッカーで魅せるスペインを打ち破る。

 “美しいサッカー”を追求してきた国同士の決勝戦。オランダはその理想を捨ててでも、初の栄冠をつかみにいく。スペイン撃破に懸けるイレブンの決意を、MFロッベンが代弁した。
 「美しい試合をして負けるより、最悪のプレーでも勝つ方がいい。決勝まできたら内容なんて関係ない。結果がすべて」
 クライフ哲学と決別することで、クライフ超えを目指す。オランダ伝統のスタイルは、74年大会で世界に衝撃を与えた全員守備、全員攻撃の「トータルフットボール」。その中心にいた天才クライフは「美しく敗れることを恥と思うな。ぶざまに勝つことを恥と思え」と攻撃サッカーを展開したが、決勝で西ドイツに敗れ準優勝に終わった。
 クライフの理想主義とは対照的に、08年に就任したファンマルバイク監督が推し進めたのは現実路線。「現代サッカーは、トータルフットボールでは勝てない」と伝統を否定した上で、最初に取り組んだのが守備の構築と選手の意識改革だった。「就任した1日目から“2位ではダメだ”と言い続けてきた」と指揮官の勝利にこだわる姿勢がイレブンに浸透。欧州予選を8戦全勝で突破し、本大会も6戦全勝で決勝進出と結果を残してきた。

 74、78年の決勝はともに美しく散った。「“いいサッカーだね”と言われても意味はない。結果を残したいんだ」とロッベン。“3度目の正直”で勝利して、スペイン優勝を予言したクライフ氏を見返してみせる。

 ◆ヨハン・クライフ 1947年4月25日、オランダ生まれの63歳。67年に17歳でアヤックスからプロデビュー。9シーズンでリーグ戦通算240戦190得点、欧州チャンピオンズ杯(現欧州CL)優勝3回。バルセロナなどを経て84年フェイエノールトで引退。当時欧州最優秀選手賞のバロンドールを3度受賞。オランダ代表48試合33得点。引退後はアヤックス、バルセロナで監督を務めた。1メートル76、67キロ。

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2010年7月11日のニュース