【菊花賞】アスクビクターモア 激戦制す!鼻差しのぎラスト1冠奪取、田辺「僕も疲れました」

[ 2022年10月24日 05:30 ]

菊花賞を制したアスクビクターモア(左)(撮影・後藤大輝)
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 3冠皆勤の実績馬がラスト1冠奪取!クラシック最終戦「第83回菊花賞」が23日、阪神競馬場で行われ、春2冠で皐月賞5着&ダービー3着に泣いた2番人気アスクビクターモアが残り600メートルから先頭に立ち、そのまま押し切った。3分2秒4の勝ち時計はナリタトップロードが勝った01年阪神大賞典の記録を0秒1更新するコースレコード。ディープインパクト産駒は種牡馬別最多の菊花賞5勝目、クラシックも単独トップの24勝目となった。

 57年以来、65年ぶりに皐月賞、ダービーの連対馬が不在。乱菊と言われた一戦を象徴するかのようなゴール前の激戦だった。先頭に立った実績馬アスクビクターモアが粘り込み、上がり馬ボルドグフーシュが強襲。それでも抜かせない。鼻差の接戦をものにし、ラスト1冠をつかみ取った。引き揚げてきた田辺は「勝ったか分からなかったです。僕も3分走った後で疲れました」。人馬共に力を出し切ったレースだった。

 勝ち時計は3分2秒4のコースレコード。逃げたセイウンハーデスが前半1000メートル通過58秒7のハイペースで引っ張った。離れた2番手で流れに乗り、残り600メートルで先頭に立つと後続を突き放しにかかった。パートナーの特徴を知り尽くした鞍上の積極策。「もうちょっと楽に振り切れるかなと思ったが最後はヒヤッとした」と振り返った。

 春は皐月賞5着、ダービー3着。ラスト1冠だけは譲れなかった。午前中のレースが終わり、鞍上と田村師は作戦会議。「先生から力は一枚も二枚も上だから、思い切って行ってほしいと。やり切って負けてもいいんだと覚悟できた」。さらにレースに送り出される時も田村師が「迷わず思い切って行って」と後押し。迷いないレース運びが悲願のG1制覇につながった。

 20年セレクトセール1歳セリに上場されたディープインパクト産駒。廣崎利洋オーナーが会場で馬体の良さに一目ぼれし、1億8700万円(税込み)で落札した。管理する田村師も「昨年の未勝利を勝った時からクラシックに乗せられると信じていた。最後のここが勝負と思っていたし、獲れてうれしい」とかみしめる。

 田辺にとっては14年フェブラリーS(コパノリッキー)、16年安田記念(ロゴタイプ)以来となるJRAのG1・3勝目。過去2回は16、8番人気の伏兵で勝利したが、2番人気で自身初のクラシック制覇を飾った。「こういうドキドキも久しぶり。貴重な時間を過ごせました。僕もアスクビクターモアに負けないように自分の中で考えたり、鍛えたりして一緒に成長していければと思います」と決意を口にした。

 クラシック3冠に皆勤出走して一戦ごとに着順を上げた。鞍上は「一戦一戦、力をつけているし、この先も楽しみ」と期待を寄せれば田村師も「これから前後のバランスも良くなると思うし、本格化するのは来年」と成長を予感。今後について「年内に使うところは限られている」と明言はしなかったが、ジャパンC(11月27日、東京)や有馬記念(12月25日、中山)が候補になる。ハイレベル世代の菊花賞馬が古馬に挑む。

 《馬主の廣崎氏「紙一重でしたね」》アスクビクターモアを所有する廣崎利洋氏(75)はストレイトガールで制した16年ヴィクトリアマイル以来のG1制覇。「(鼻差で)紙一重でしたね。ジョッキーが馬を信じて乗ってくれました。運良く、縁良く、展開良く、うまく抜け出してくれました」と田辺の好騎乗を称えた。阪神でのG1勝利は15年桜花賞(レッツゴードンキ)以来、2勝目。「最後になるかもしれない(阪神の)菊花賞を勝たせてもらって凄いプレゼント。後世に残る可能性があるのがうれしいですね」と喜びをかみしめた。

 《2着も社台ファーム》アスクビクターモアを生産した社台ファームは4頭出しでワンツー・フィニッシュ。代表の吉田照哉氏(74)は「ペースが速かったし、最後はうちの馬(2着ボルドグフーシュ)が来ていたので、どうなるかと思った。アスクビクターモアはレインボウクエスト(母の父)の血が入っているのが良かったのかな。ジャパンCや有馬記念で古馬と戦うことになるかもしれないけど、楽しみにしています」とさらなる活躍を願っていた。

 ◆アスクビクターモア 父ディープインパクト、母カルティカ(母の父レインボウクエスト)19年4月1日生まれ 牡3歳 美浦・田村厩舎所属 馬主・廣崎利洋HD 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績9戦4勝(重賞2勝目) 総獲得賞金3億4527万5000円。馬名は冠名+勝者+より多くの

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