【CBC賞】ルーキー・今村聖奈 女性騎手初の重賞初騎乗V&平地の芝重賞V「人馬一体になれた」

[ 2022年7月4日 05:24 ]

<小倉11R・CBC賞>インタビューに答える今村聖奈(撮影・中村 達也)
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 18歳の女性ジョッキーが歴史的な偉業をやってのけた。夏の小倉競馬開幕週を飾るG3「第58回CBC賞」が3日に行われ、3月にデビューしたルーキー今村聖奈(18)が、2番人気テイエムスパーダとのコンビで逃げ切りV。勝ち時計1分5秒8のJRAレコード(芝1200メートル)で98年池添謙一以来、史上4人目となるデビュー年のJRA重賞初騎乗初勝利を達成した。女性騎手のJRA平地重賞制覇は19年藤田菜七子(カペラS・コパノキッキング)が22歳で達成して以来2人目、平地の芝重賞Vは史上初となった。

 大好きな小倉競馬場で聖奈スマイルがはじけた。今村聖奈騎乗のテイエムスパーダは最初の600メートルをJRA史上最速タイの31秒8で通過。先頭で直線に入ると、スタンドで見守った1万人近くのファンから大歓声。その後押しを受け、差をさらに広げる。後ろからは何も来ない。そのまま先頭でゴール。歴史的な瞬間に場内は驚き交じりの拍手で祝福した。

 引き揚げてきた今村は右手で小さくガッツポーズ。出迎えた厩舎関係者と喜びを分かち合った。「うれしいです。場内のモニターを見た時にセーフティー(リード)だった。しっかり追うことと、逃げ切る気持ち良さをしみじみ感じながら馬と人馬一体になれたのではないかと思います」

 3月にデビューしたばかりで、これが重賞初騎乗。それでも18歳ルーキーに緊張はなかった。「冷静でしたね。走るのは馬だし、重賞だからといって私が気負っても馬にプレッシャーをかけるだけなので。同じ精神面で私は馬と向き合えました」。自然体でつかんだ勝利。女性騎手のJRA平地芝重賞制覇は史上初の快挙になった。

 小倉は幼い頃から、ジョッキーだった父・康成氏(現在は調教助手)の滞在時に何度も訪れた思い出の場所。競馬場のウイナーズサークルでは引き揚げてくるジョッキーの姿に憧れた。その場所にジョッキーとなって戻ってきた今村。大好きな小倉のお立ち台でインタビューを受け、詰めかけたファンに感謝した。

 「ジョッキーが勝ったら私自身が拍手している立場だったので、お客さんに喜んでいただけるのはうれしい。デビューした時から夢と希望と感動を与えられるレースを贈りたいと思っていたので、少しでも提供できたなら光栄です」

 ハキハキとした、大人びた口調はルーキーとは思えない。それでもインタビューが終わると「これって夢じゃないですよね」と何度も口にした。続く最終レースも勝って通算19勝とし、夏の小倉開幕週に強烈なインパクトを残した大物ルーキー。この先も、たくさんの夢と希望と感動を与えてくれるに違いない。

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