【宝塚記念】オルフェーヴルは終わっちゃいない 池添導いた“汚名返上”

[ 2022年6月24日 05:00 ]

 【競馬人生劇場・平松さとし】

 2012年の宝塚記念で誰より注目されたのがオルフェーヴル(牡=当時池江泰寿厩舎)だ。

 前年は3冠馬となり、有馬記念も優勝。当然、当時から中心的存在ではあったが、この時の春のグランプリでは、また違う意味で注目されていた。

 先述した通り、前の年は無双状態だった栗色のステイゴールド産駒だが、この年の初戦の阪神大賞典では、あろうことか3コーナーで逸走。いったん最後方まで下がった後、盛り返して2着。続く天皇賞・春では後方のまま見せ場もなく11着大敗。その後、迎えたのが宝塚記念だったのだ。手綱を取っていた池添謙一騎手は当時、言っていた。

 「負けてはいけない立場なのに、ひどい形の連敗を喫してしまいました」

 そんな若き3冠騎手の耳には心無い言葉も舞い込んだ。

 「“オルフェは終わった”という人がいました。結果を出してあげられなかった自分が“下手”と批判されるのは仕方ないけど、オルフェーヴルを批判されるのは納得できませんでした」

 天皇賞は、逸走した前々走を受けて走路再審査を課せられたため、ダートコースで追われた。レースでは、走路審査時と同じ馬装での出走を義務付けられたため、慣れないメンコ(耳覆い)をかぶされた。これらの影響で、本来持っている能力を発揮できなかったのが惨敗の要因。だから、まだ決して終わったわけではないことを証明するためにも、池添騎手は「勝たなければいけない」という強い意志を持って、前年の3冠馬と共に宝塚記念に挑んだのだ。

 結果は2着ルーラーシップに2馬身の差をつけて快勝。鞍上はホッと胸をなで下ろしたのだった。

 今年の宝塚記念が週末に迫った。アイアンバローズ(牡5=上村)、オーソリティ(牡5=木村)、メロディーレーン(牝6=森田)といったオルフェーヴル産駒の他、出走馬の中にはステイゴールドの子供もいる。果たして、どの馬に勝利の女神はほほ笑むだろう。春最後のG1に注目しよう!! (フリーライター)

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2022年6月24日のニュース