【有馬記念】メロディーレーン 真冬の大冒険!前走354キロ、最少体重の5歳牝馬は小さくて強い

[ 2021年12月21日 05:30 ]

自身のぬいぐるみと一緒に映るメロディーレーン(森田師提供)
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 「牝5歳、真冬の大冒険」だ。暮れの大一番「第66回有馬記念」(26日、中山)の出走馬でひときわ異彩を放つのがメロディーレーン(牝5=森田)。JRA最少体重勝利記録(338キロ)を持つ超小柄な牝馬だ。かわいいだけではなく、19年菊花賞5着など実力も確か。その小さな体には大きな夢と可能性が詰まっている。

 とにかく小さい。メロディーレーンは自己最高体重まで成長した前走・古都Sでも354キロ。有馬記念の最少体重記録(70年以降)は78年メジロイーグル(3着)の412キロだから、大幅な記録更新は間違いない。競走馬の平均的な体重は450~500キロ。蹄鉄の大きさも他馬に比べて一回り以上小さい。

 それでいて強い。小さいからと特別扱いされることなく、ハードトレーニングで有名な森田厩舎で力をつけてきた。紅一点として牡馬に挑んだ19年菊花賞(芝3000メートル)では強豪相手に5着。上がり3F(600メートル)はメンバー最速タイと自慢の末脚がG1でも通用することを示した。4勝は全て2400メートル以上。一撃必殺の大技があるわけではないが、無尽蔵のスタミナと他馬に食らいつく勝負根性で頂上決戦まで上り詰めてきた。

 いくら体重が軽くてもレースで背負う重量は変わらない。明らかに不利なのだが、なぜこれだけ走るのか?森田師は「息遣いがいいことと、体が柔らかいこと」と分析する。レース後でも息遣いが追い切り後と変わらないほど心肺機能が高い。そして体が柔らかいことで歩幅が伸びる。一般的に体格が大きい馬の方が一完歩が大きいが、しなやかな体の伸びで補っている。柔らかい筋肉は疲労も少なく、それが持久力にもつながっている。

 デビュー時は336キロ。競走馬としてはあまりに小さく、3戦で結果が出なければ引退という話もあった。だが3戦目で3着に好走し、10戦目で初勝利。師は「こんなちっこい馬が勝って感動した」と涙が出たという。

 「1勝すればいいと思っていた。有馬記念に出走するなんて思ってもみなかった」。そう振り返るが、父オルフェーヴルが2度制した夢舞台に立つからには“参加することに意義がある”で終わるつもりはない。スタミナ比べになりがちな有馬記念では菊花賞組の好走が目立つ。「距離は短いかもしれないが、状態は絶好調なので楽しみ」と期待を寄せる。牝馬が席巻する近年の競馬界。有馬記念も昨年は11番人気サラキアがクロノジェネシスの2着に食い込み牝馬ワンツーだった。今年はシンデレラストーリーを地で行くリトルプリンセスが、あっと驚く金メダルを狙う。

 ≪サラブレッドの平均体重は470キロ≫サラブレッドの体重は450~500キロ。これを下回ると小型馬、上回ると大型馬と呼ばれる。平均は470キロ前後。400キロを割り込む超小型馬は競走能力が足りないと敬遠される。メロディーレーンの活躍は異例中の異例。ちなみにJRAの最高体重出走記録はショーグンの640キロ。優勝記録は同馬の626キロ。ばんえい競馬で活躍するペルシュロン種には体高2メートル、馬体重1トンを超える馬もいる。

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