松永幹師5・19戴冠でボクシング井岡氏との縁

[ 2021年5月21日 05:30 ]

91年オークス、イソノルーブルでG1初制覇の松永幹騎手
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 【競馬人生劇場・平松さとし】

 「今年もまた電話がかかってきました」

 そう語るのは松永幹夫調教師(54)。今から30年前の91年5月19日。騎手時代の彼はイソノルーブルでオークスに臨んだ。桜花賞はその時点で5戦5勝ということもあり1番人気。松永幹騎手にとって初めてのG1戴冠のチャンスだった。しかし、発走直前に落鉄のアクシデント。「打ち直そうとしているうちに発汗が激しくなり、普通の状態ではなくなった」。結果、5着に沈んだ。

 続くオークスは「ただでさえ距離が長いか?」と考えていたのに枠順を見てがく然とした。「20頭立ての大外20番枠でした。自分は一生、G1には縁がないのかと思いました」

 ところがスタート後、すぐに内へは切れ込まず「最初のコーナーまで真っすぐ走らせるイメージでジワッとインへ行く」と、先手を取れた上に折り合った。結果、桜花賞馬シスタートウショウの猛追を鼻差抑えて優勝。松永幹騎手にとって初めてとなるG1制覇を成し遂げた。

 「それから毎年、5月19日になると井岡さんから“あの時はおめでとう”と電話が入るんです」

 “井岡さん”とは親交のある元プロボクサーの井岡弘樹氏。「忘れることなく毎年かかってくるので、ある年、なぜか?と聞きました」。すると、井岡氏から思わぬ話を聞かされた。「白井義男さんが日本人初の世界チャンピオンとなったのが5月19日で、日本プロボクシング協会はこの日をボクシングの日と制定していると教えられました」

 冒頭に記したように今年もその電話がかかってきた。ちなみに調教師となった松永幹師がオークスに最も迫ったのは09年。レッドディザイアで鼻差2着。また、19年には松永幹師の弟子の斉藤崇史師がクロノジェネシスで3着。この両頭は共に秋に秋華賞を勝つのだが、それはまた別のお話なので機会があれば記すとしよう。その前に、白毛馬ソダシも出走する今年のオークスはどんなドラマが展開されるのか、注目しよう。 (フリーライター)

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2021年5月21日のニュース