【オークス】(11)ソダシ 64年の時を超えて伝説再現!昨年のデアリングタクトに続く3頭目の偉業へ

[ 2021年5月21日 05:30 ]

厩舎周りで運動するソダシ
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 中央競馬の牝馬クラシック2冠目「第82回オークス」(23日、東京)の出走馬、枠順が20日、確定した。無敗で桜花賞を制し、海外からも注目を集める白毛馬ソダシ(須貝)は57年にミスオンワードが史上初の無敗牝馬2冠を達成した11番枠からスタート。64年前の伝説を再現し、昨年のデアリングタクトに続く3頭目の偉業を達成するか。同レースの馬券は、22日から発売される。

 木曜の午後2時すぎ、大注目のオークス枠順が確定した。ソダシの横に付された番号は「11」。伝え聞いた須貝尚介師(54)は余裕の口ぶりだ。「これ以上外だと、どうかなと思うが、このあたりまでは許容範囲じゃないかな。外も内も見ながら運べる。まあ、枠はどこでも良かったけど」

 伝説がよみがえる。64年前、ミスオンワードが史上初の無敗牝馬2冠を達成した。歴史的名牝は1番人気に推されたオークスを11番枠から制した。ソダシも11。これ以上ない吉兆枠。メジャーリーグでは現在、大谷翔平投手(26)の快進撃でベーブ・ルースら往年の名選手たちの記録が再び掘り起こされている。過去のレジェンドを現代によみがえらせてこそ本物。ソダシの走りに映るのはミスオンワードの面影だ。

 1957年は現代日本の礎が固まり始めた年だ。国内初のコカ・コーラ発売で欧米の風が吹き、長嶋茂雄の巨人入団に国民のプロ野球熱は高まった。現役馬の0・1%にも満たない希少な白毛馬のソダシ。64年後の競馬では白毛は見慣れた存在となり、ソダシは伝説となっているのかもしれない。

 典型的な逃げ馬不在の今年のオークス。好位から抜群のスピードで押し切ってきたソダシの戦法に注目が集まる。須貝師は「枠がどこでも目立つから目標にされてしまう。これまで全て違う帽色で勝っていて、また一つパターンが増えるんじゃないかな」と“逃げ示唆”とも取れるコメント。新垣結衣と星野源による“逃げ恥婚”の発表直後。時流も後押しする?戦法だ。純白のフロントランナーが17頭の一団を引き連れるシーンが見られるかもしれない。

 ミスオンワードの歓喜に沸いた64年前。街中には島倉千代子さんの「東京だョおっ母さん」が流れていた。♪お祭りみたいに にぎやかね…で締めくくられる名曲。限定入場ながらファンも戻った東京競馬場。最高潮の盛り上がりを見せる純白のシンデレラ・ストーリーに日本中がお祭り騒ぎとなる。 

 ◆ミスオンワード 父ハードソース、母ホールドタイト。樫山純三オーナーはアパレル大手、オンワード樫山の創業者。京都・武田文吾厩舎。56年10月デビュー。5戦5勝で桜花賞に1番人気で挑み、2着ヒシチヨに1馬身3/4差つけて逃げ切り。オープン1着を挟み、オークスも1番人気。2着ヨドサクラに1馬身1/4差完勝。8戦8勝で2冠を手にした。連闘で出走したダービーでヒカルメイジの17着に大敗し、連勝は途切れた。その後、G1級競走を勝つことはできなかったが58年目黒記念(秋)など6勝を挙げた。

 ▽1957年の世相 2月に岸信介内閣が成立。プロ野球では立大・長嶋茂雄の巨人入団が決定。前年まで投手として活躍していた関根潤三(近鉄)が野手に転向し“元祖二刀流”に挑戦した。国内の産業はコカ・コーラが国内での販売を開始。ダイエーが大阪市で創業して大型スーパーの時代到来を告げた。トヨタ自動車は「コロナ」を発売。東京通信工業(現ソニー)は世界最小のトランジスタラジオを発売した。流行歌は「有楽町で逢(あ)いましょう」(フランク永井)など。

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