【天皇賞・春】横典“感覚的”騎乗でオセアグレイトに大金星呼ぶ

[ 2021年4月30日 05:30 ]

オセアグレイトと横山典弘
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 【競馬人生劇場・平松さとし】シンボリルドルフにミホシンザン、メジロマックイーンにビワハヤヒデなどなど。ひと昔前の天皇賞(春)勝ち馬一覧にはスーパーホースの名が並んだ。他のG1を勝っている馬でないと勝利の資格を与えられないと思えるほどレベルの高いレースだったのだ。

 しかし、近年は荒れるケースが目につく。ここ何年かをみてもレインボーラインやフェノーメノ、ヒルノダムール等がここで初G1制覇。ビートブラック、ジャガーメイル、マイネルキッツ等にいたってはG1どころか初重賞勝ちがこのレース。サンデーサイレンス導入以降、スピード化に拍車がかかったせいか、スタミナ豊富なタイプが通常のレースでは能力を存分に発揮できず、3200メートル戦でいきなり覚醒するケースが増えているのかもしれない。

 そんな時代の幕開けを感じさせたのが04年の勝ち馬イングランディーレだ。その直前はスペシャルウィークやテイエムオペラオー等、やはり実績のある馬が続けて勝利していた。ところがイングランディーレはこれがG1は初制覇。単勝は10番人気で71・0倍。しかし2着に7馬身差をつけ、穴馬とは思えない勝ちっぷり。逃げて大金星を射止めたのだが、この時、手綱を取っていたのが横山典弘騎手だった。

 後にロジユニヴァースとワンアンドオンリーでダービーを2勝する名騎手は、当時から大舞台で皆をアッと言わせる好騎乗を幾度となく披露。天皇賞でも同様にファンを驚かせると、ひと月半後にはコンビで英国伝統のロイヤルアスコット開催に挑んだ。

 「1人でいると緊張しちゃうから…」と当時、パドックでさまざまな話をしてくれた。中でも「感覚的に乗って好結果が出た時は、自分でも口で説明できない」と語ったのが忘れられない。

 今年の天皇賞ではオセアグレイトに騎乗予定で、決して人気馬ではないが、“感覚的な”好騎乗を期待したい。また、彼の父の故・富雄元騎手がちょうど50年前に制したこの大一番で、2人の子息、武史騎手(ウインマリリン)と和生騎手(ジャコマル)との共演も楽しみにして、見守りたい。 (フリーライター)

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2021年4月30日のニュース