【天皇賞・春】(3)カレンブーケドール常識覆す!国枝師、史上4人目のG1・20勝&68年ぶり牝馬Vへ

[ 2021年4月30日 05:30 ]

厩舎周りを運動するカレンブーケドール(撮影・郡司 修)
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 「第163回天皇賞・春」(5月2日、阪神)の出走馬、枠順が29日、確定した。68年ぶりの牝馬Vを狙うカレンブーケドール(牝5=国枝)は2枠3番。09年覇者の先輩マイネルキッツと“ダブる”臨戦過程で悲願のタイトルを目指す。

 常識を覆す1カ月が始まる。ダービーに牝馬サトノレイナスを送り込む国枝厩舎。これに先駆け、先輩カレンブーケドールが半世紀以上も牝馬が勝っていない春の盾に挑む。

 同馬の最長走破距離は2500メートル(有馬記念5着同着、日経賞2着)。重賞には10度出走して未勝利。それでも、この挑戦が無謀に思えないのは、国枝師に酷似する成功体験があるからだ。「あの時も日経賞2着からの臨戦か。縁起がいいな」。09年天皇賞・春を制したマイネルキッツ。ブーケドール同様に善戦止まりだった先輩は、初の超長距離戦で才能が開花。伝統のG1が重賞初勝利だった。

 両馬の共通項は類いまれなレースセンス。「落ち着いた馬で乗りやすいので延長はこなせると思う。折り合いは心配していない」。キッツは上位5頭が単勝オッズ1桁台に推された混戦を完璧な立ち回りで断ったが、今年も主役不在、混迷を極める乱戦模様。「どんな条件、どんな競馬でも強い相手に頑張ってきた」ブーケドールのレース巧者ぶりが生きてくる。

 枠順は2枠3番。キッツ(1枠2番)と同じ内枠に、指揮官は「隊列がばらける長距離は包まれる心配はない。あえて外を回す必要のない馬だし、この枠で良かったんじゃない」と歓迎ムード。エスコートを託された戸崎は「何とかG1を獲らせたい思いは厩舎と共有している。もうワンパンチの部分を補うため、やってみたいことはある。流れが向く展開になれば」と大一番での“秘策”をにおわせる。

 53年レダ以来、68年ぶりの牝馬による天皇賞・春制覇となれば、師にとってはグレード制導入後史上4人目のJRA・G1・20勝目。「牝馬はデータ的には厳しいが新たな記録をつくってほしい。G1で2着が何回もあるのに、まだ重賞を勝てていない。何とか一つタイトルを」。“夢はいつだって大きく”がモットーの指揮官。「今回もひとつのチャレンジ。ウチ以外にも牝馬が出ているし、これは日本競馬の流れだと思う。女馬が勝てば、(牝馬の参戦が)当たり前のオプションになっていくのかも」。常識を覆す1カ月が始まる。

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