【天皇賞・春】ユーキャンスマイル90点 破魔矢の如く長大

[ 2020年4月28日 05:30 ]

長く伸びたキ甲に合わせて首が太く、肩も深みを増したユーキャンスマイル
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 盾を射止めるのは破魔矢の如(ごと)き長いキ甲か、それとも、頂上に立つシーサーの面構えか。鈴木康弘元調教師がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。天皇賞・春では1位のキセキに次いでユーキャンスマイル、スティッフェリオを2位タイに指名した。有力候補の馬体を魔よけの伝承になぞらえて解説する。

 魔よけの縁起物として知られる「破魔矢」は長いほどいい。長い破魔矢を飾った家の子供は魔物に取りつかれることもなく、真っすぐに育つといいます。馬のキ甲(首と背の間の膨らみ)も長いほどいい。例えばユーキャンスマイル。山裾のように長く伸びているキ甲に合わせて首が太くなり、肩も深みを増している。長大なキ甲が後ろに張り出すせいで背中が短く映るほどです。

 キングカメハメハ産駒らしい豊富な筋肉量の持ち主。長距離レースよりもボディービルコンテストに出た方が勝算が一層大きくなると思えるほどの筋肉マッチョですが、腹下にはステイヤーのような長さがある。競走馬の理想像とされる「長腹短背」の体形。発達した肩に比べてトモは見劣りしますが絶妙な角度の飛節が補っています。

 前回のG1(19年ジャパンC)と見比べると、ひと皮むけた印象を受ける。全体的にゆとりを感じるのです。5歳春を迎えての進化と言えるでしょう。程よい緊張感がある顔つきと立ち方にも好感が持てます。曇り空の下での撮影にしては毛ヅヤもさえています。

 ところで魔よけに最も効くのは何でしょうか。家族の笑顔かもしれません。笑う門には福来る。笑いが絶えない門(家)には鬼(魔物)の代わりに福の神が訪れるという意味。ユーキャンスマイル(笑ってごらん)が長い破魔矢のようなキ甲まで備えているなら、鬼に金棒、弁慶に薙刀(なぎなた)です。

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2020年4月28日のニュース