【京都牝馬S】“レジェンド”久保助手がドナウデルタで最後の大勝負!

[ 2020年2月21日 22:40 ]

ドナウデルタで京都牝馬Sに挑む久保助手(撮影・亀井 直樹)
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 幾多の優駿を手がけたレジェンドが、フィナーレを迎える。石坂正厩舎の久保助手は3月31日で定年。森厩舎時代にアグネスワールド、石坂厩舎ではヴァーミリアンと歴史的名馬に携わってきた職人に「思い出の1頭は?」と聞くと、真っ先に稀代の個性派の名前が挙がった。95年の香港カップで日本馬として初めて香港で勝利したフジヤマケンザン。8歳まで走って重賞5勝を含む38戦12勝。G1には手が届かなかったが、90年代前半の競馬を彩った名バイプレーヤーだ。

 「やっぱり一番はケンザンやね。思い出深いのは(7歳時の)中山記念。人気はしてたけど、サクラチトセオーを筆頭に相手が揃っていたし、掲示板ぐらいかなと。そうしたら三分三厘から追いまくりだったけど、最後はグイッと伸びて勝ちよった。あの叩き合いは本当に凄かった。とにかく1800メートルに強かったし、この距離のG1があれば勝っていたんじゃないかな」

 アグネスワールドは日本馬として初めてイギリスの重賞を制覇。「バネの利いたキャンターは本当に凄かったし、ああいう馬にはもう巡り会えないやろうね」と懐かしむ。G19勝のヴァーミリアンでは喜びの反面、悔しい思いをした。絶頂期だった6歳時のドバイワールドCは、レース中に他馬が蹴り上げた土の塊が両目を直撃して、最下位の12着。「獣医が洗浄と点眼を繰り返して、レースの2日後にようやく両目のまぶたを開けるようになった」というほどのダメージを負った。かつての相棒は北海道のノーザンホースパークで乗馬として活躍中。「暖かくなったら会いに行くよ」と再会を心待ちにする。

 その前に助手生活最後の大事な一戦が控えている。土曜の京都牝馬Sにドナウデルタで参戦。父ロードカナロア、母は重賞2勝ドナウブルーという血統馬。3歳時の大目標だった桜花賞出走は逃したが、昨秋から3連勝でオープンまで駆け上がってきた。

 「体つきが変わってきたね。前は女の子って感じやったけど、今はボリューム感があるし、特にトモが凄い。こういう風に成長してくる馬は走るんだ。ベストの1400メートルを使えていることも大きいと思うよ」

 自分の手でレースに連れて行くのは今回がラスト。「うまくいけばG1も勝てると思う。ただ、1400メートルのG1はないからな。そういうところはケンザンと似てるかな」と苦笑いを浮かべつつ、さらなる活躍を約束した。春の大舞台に向けて最低でも賞金加算、願わくば勝って通過点としたい一戦。別れを惜しむのはレースが終わってから。百戦錬磨の仕上げ人の、最後の大仕事を期待したい。

 ◇久保 卓也(くぼ・たくや)1955年(昭30)3月19日生まれ、京都市左京区出身の64歳。サッカー少年だった中学生の頃、近所に同志社大馬術部があった縁で馬に親しみ、18歳で栗東トレセンへ。戸山為夫厩舎、森秀行厩舎を経て石坂正厩舎に移り、40年以上のキャリアを誇る。これまでフジヤマケンザンやアグネスワールド、ヴァーミリアンといった名馬に携わってきた。今年3月いっぱいで定年を迎える。

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