【岸和田・高松宮記念杯】中川 進化のV、マークからG1・3勝目

[ 2019年6月17日 05:30 ]

競輪の第70回高松宮記念杯を初制覇した中川
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 G1「第70回高松宮記念杯競輪」の決勝戦が16日、岸和田競輪場で行われ、脇本雄太の逃げに乗った中川誠一郎(40=熊本・85期)が優勝。賞金2890万円(副賞含む)を獲得した。高松宮記念杯優勝は初めて。G1優勝は2月の別府全日本選抜競輪以来、通算3回目。2着はまくりで迫った新田祐大だった。

 最終ホームで脇本―中川に小原の3車で後ろを離した。中川は優勝を予感した。「3車で出切ったのをオーロラビジョンで確認した。脇本君はもの凄い掛かりだった。もう誰も来ないな…と」。それでも新田が異次元のスピードでまくり上げてくる。これがナショナルチームの底力。だが、リオ五輪に出場した中川にも意地がある。懸命に集中した。前の脇本を捉える。新田も抑え切って真っ先にゴールへと飛び込んだ。

 2月の全日本選抜競輪(別府)を優勝。一番乗りでグランプリ(12月30日、立川)出場を決めた。達成感を味わったが、その後はモチベーションの低下に悩まされた。5月は3開催を走った。疲れが抜けない。持ち前の快速は影を潜めた。

 発想を切り替えた。今大会に向け、体力を回復させることに集中した。休むこともまた練習だ。調整は成功した。調子は一走ごとに上がり、決勝で最高潮に達した。「体力、技術、精神的に、とてもかみ合っていた」。40歳にして、中川はさらに進化を遂げた。

 これでG1は3勝目。過去2勝は自力だったが今回はマークからの頂点だ。「20年近く自力で頑張ってきた。たまにはこういう勝ち方でも罰は当たらないでしょう」。冗談めかして話したが、その通りとも言える。調整法、勝ち方とも、これまでと違う、新たな中川像を披露した。味わいを増した男の視線は年末のグランプリへと向いている。

 ◆中川 誠一郎(なかがわ・せいいちろう)1979年(昭54)6月7日生まれ、熊本市出身の40歳。私立真和高卒。85期。00年8月プロデビュー。通算1447戦428勝。通算取得賞金は6億3525万円。主な優勝は第70回日本選手権(16年)、第34回全日本選抜競輪(19年)、第70回高松宮記念杯競輪(19年)。1メートル74、78キロ。血液型AB。

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