松永幹師 ヘヴンリーで天皇賞・秋V 両陛下に馬上礼「一生忘れられない」

[ 2019年4月25日 06:30 ]

平成17年天皇賞・秋を制したヘヴンリーロマンスの馬上で、スタンドで観戦する天皇、皇后両陛下に頭を下げる松永幹夫
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 【名ジョッキーが振り返る平成の天皇賞】幾多の名勝負、名シーンが繰り広げられた平成の天皇賞も今回がラスト。ファンの印象に残る場面を演出した名ジョッキーが、当時を振り返る。平成17年秋、JRA史上初の天覧競馬をヘヴンリーロマンスで制したのは松永幹夫現調教師(52)。馬上からの最敬礼は今も語り草だ。

 競馬ファンは厳粛な緊張感を持って平成17年10月30日を迎えた。天皇賞・秋が戦後初めて天皇、皇后両陛下を競馬場に迎える「天覧競馬」として行われたからだ。勝ったのは牝馬のヘヴンリーロマンス。14番人気を覆す大駆けだった。

 この日、手綱を取った松永幹夫騎手は朝から落ち着かなかったという。武豊、柴田善臣騎手とともに、両陛下を出迎える大役を任されていたからだ。

 「朝からガチガチに緊張していました。そのことがあったから、かえってレースではリラックスできた」

 松永幹師は当時を振り返る。ハーツクライ、ゼンノロブロイらG1馬8頭が顔をそろえる豪華メンバー。札幌記念で重賞2勝目を挙げたヘヴンリーロマンスだったが、「まさか勝てるとは…」が本音だった。

 最内1番枠スタートから道中8番手に付けると直線は内ラチ沿いに進出。最後は上がり3F32秒7の剛脚を繰り出し先に抜けたダンスインザムード、追うゼンノロブロイの間を割って抜けた。師匠・山本正司調教師の管理馬。20年に及ぶ騎手人生最高の瞬間だった。

 大波乱の結末に騒然とする場内。意表を突かれたのはファンだけではない。「ペリエに“一周回ってこい”と言われて、改めてウイニングランに気が付いた」(松永幹師)ほどだったのだ。

 そして14年たった今でも語り継がれる馬上礼。騒然とした場内が一瞬で静寂を取り戻す。馬もその意味を理解するように脚を止め、静かに前を向く。ヘルメットを脱ぎ、両陛下に深々と頭を下げる姿は平成競馬の中で最も美しいシーンの一つに数えられる。

 「いまだに思い出してもらえるし、声を掛けてもらえる。幸せなことです。僕にとっても一生忘れられない思い出。これから令和の時代にも思い出に残るような競馬ができれば」

 平成の競馬史に名を刻んだ師は、そう新時代への意気込みを語った。

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