10週連続G1勝利の衝撃 「外国人騎手を買えば儲かる」は本当か

[ 2018年12月29日 10:00 ]

2018年の日本競馬を席巻した(左上から時計回りに)ルメール、M・デムーロ、ビュイック、モレイラ
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 「外国人騎手を買えば当たる」。競馬にはいくつもの格言が存在するが、2018年にファンが最も耳にした言葉に違いない。28日に中央競馬の全日程が終了。最終日にC・ルメール騎手(39)がJRA年間最多勝記録を更新し、M・デムーロ騎手が最後のJRA・G1ホープフルSを制した。とりわけ、短期免許で来日する騎手が増える秋競馬では秋華賞(10月14日)から朝日杯FS(12月16日)にかけて、外国人騎手が10週連続G1勝利を果たすなど、世界の名手たちが席巻した今年の競馬を振り返る。

 今年、JRAのレースで勝利をあげた外国人騎手は計12人で合計543勝。ルメール(215勝)、M・デムーロ(153勝)、モレイラ(76勝)、アブドゥラ(18勝)、C・デムーロ(18勝)、バルジュー(12勝)、ムーア(11勝)、ビュイック(9勝)、ミナリク(9勝)、ボウマン(8勝)、マーフィー(8勝)、オドノヒュー(6勝)。世界的名手がズラリと並び、G1レースに限ると27競走のうち過半数15勝を占めた。

 JRA騎手試験に挑戦(結果は不合格)したモレイラの勝率は驚異の3割5分。1着76回で掲示板を外したのはわずか44回だった。もちろん走るのは馬自身だが、年間を通して騎乗するJRA所属のルメール、デムーロも3着内率が5割を大きく上回ったように、まさに「外国人騎手を買えば当たる」は格言の域を超えた“事実”だった。

 では、「外国人騎手を買えば当たる」ならば「外国人騎手を買えば儲かる」のだろうか―。G1全27競走で馬券収支を検証してみると思いがけない結果が。外国人騎手が騎乗した日本馬は79頭出走し、単勝回収率は103%。10週連続Vなど衝撃が強かっただけに、やや物足りない数字だ。その79頭の馬連BOX(全94通り)を購入した場合の回収率は83%。意外にも外国人騎手のワンツー決着だったG1は4競走のみだった。

 今年、単勝オッズ10倍以上の馬でG1を勝ったのは、ルメールを除くと内田(フェブラリーS)、戸崎(皐月賞)、藤岡佑(NHKマイルC)、幸(ヴィクトリアM)、福永(日本ダービー)、和田(宝塚記念)、横山典(JBCレディースC)と日本人騎手がズラリ。「外国人騎手を買えば当たる」が浸透したからこそ、外国人騎手騎乗馬の馬券的妙味がなくなっているのが現状のようだ。

 来年のクラシックに直結する2歳G1・3戦をデムーロ兄弟がジャックしたように、2019年以降も外国人騎手旋風が続くことが予想される。世界の名手の迫力ある追い比べを目の当たりにできることは競馬ファン冥利に尽きるが、日本人騎手の逆襲にも期待したい。

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