【菊花賞】フィエールV!ルメール“神業”年間G1自己新5勝

[ 2018年10月22日 05:30 ]

フィエールマン(手前)はハナ差でエタリオウに競り勝ち菊花賞を制する(撮影・岩崎 哲也)
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 3冠ロード最終戦「第79回菊花賞」が京都競馬場で行われ、7番手を進んだ7番人気フィエールマンが2番人気エタリオウとの死闘を鼻差制しG1初制覇。4戦目Vは菊花賞史上最少キャリア。管理する手塚貴久師(54)は初の牡馬クラシック制覇。関東馬の優勝は17年ぶりとなった。クリストフ・ルメール(39)は秋華賞(アーモンドアイ)に続く2週連続G1制覇。このレースは2勝目で年間G1・5勝は自己新となった。

 残り1F。一度は完全に抜け出したエタリオウを目掛け、内からフィエールマンが飛んできた。ゴールの瞬間はほとんど同時。際どい。どっちだ!!

 スタンドが激闘の余韻に酔う頃、フィエールマンの馬上でルメールは死闘を演じたライバルを称えていた。「ミルコ、オメデトウ〜」。しかし、検量室前に引き揚げるとフィエールマンの手塚師が1着馬が入るべき枠場の前で待っているではないか。

 「勝ったの!?ワオ〜」

 約15センチの鼻差V。ガッツポーズなきゴールから4分。ようやく優勝を知ったルメールに笑みが浮かんだ。

 鞍上の想定には1%もなかった展開だった。2000メートル通過は2分6秒9の歴史的超スロー。フィエールマンは中団を追走した。過去3戦のVTRを分析し、後方追走と考えていたルメール。「ペースが遅い。プランと全然違った。プランを変更した」

 中団馬群で折り合いピタリ。2周目4コーナー入り口。一瞬前が詰まって待たされる不利を乗り切ると、馬1頭分のスペースをすり抜けて伸び切った。上がり3F33秒9。3000メートルを走り抜いたとは思えない父ディープインパクト譲りの鬼脚だ。先週の秋華賞(アーモンドアイ)に続く2週連続G1制覇に加え、騎乗機会4連続重賞制覇。まさに“神業”で初コンビの愛馬をG1初制覇に導いた鞍上は自画自賛した。「完璧に乗れた!!このペースでちょうどいい位置を取れた。馬群の中ではリラックスしていた。最後は凄い脚。福島(ラジオNIKKEI賞2着)で負けた時も凄くいい脚を使っていたからね」

 騎乗は1週前追いの1回だけ。名手にはその1回で十分だった。「3回しかレースしていないが能力があることは分かっていた。(サッカーのキリアン)エムバペはわずか19歳でフランスをワールドチャンピオンに導いたんだ」。天才にキャリアは関係ない。今年のサッカーW杯で大ブレークした母国の若き英雄を引き合いに出し、最大の賛辞を送った。

 それにしても、ルメールの勢いはとどまるところを知らない。今年G1・5勝は16、17年(ともに4勝)を上回る自己新。次週の天皇賞・秋には有力馬レイデオロが控える。「馬はパワーアップしている。いいメンバーだけど自分の馬も強い。自信あります。また来週〜」。絶好調男は笑顔で来週のお立ち台も約束した。

 ◆フィエールマン 父ディープインパクト 母リュヌドール(母の父グリーンチューン) 牡3歳 美浦・手塚厩舎 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績4戦3勝 総獲得賞金1億7885万9000円。

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