【AR共和国杯】ゴールドアクター 08年Vヒーローと史上初父子制覇

[ 2015年11月9日 05:30 ]

ロングスパートで重賞初勝利のゴールドアクター(15)。鞍上の吉田隼はガッツポーズ

 伝統のハンデ重賞「第53回アルゼンチン共和国杯」が8日に東京競馬場で行われ、1番人気に支持された吉田隼騎乗のゴールドアクターがメイショウカドマツに頭差競り勝って重賞初制覇。父スクリーンヒーロー(08年)に続く同レース初の父子制覇を達成した。

【レース結果】

 雨に煙るゴール前。重賞初Vの先には何が見えたか?ゴールドアクターとともに1着の脱鞍所に入った吉田隼が濡れた馬体を優しく2度叩く。「よく頑張った。直線で並んでから相手(2着メイショウカドマツ)がしぶとかったが、僕の馬もいい脚を使ってくれた」と語ると、こう続けた。「今後のことは分からないが、僕としてはジャパンCに行ってもらいたいです」。父スクリーンヒーローが7年前に歩んだアルゼンチン共和国杯、ジャパンC連勝の道。そんな夢を引き寄せるV走だ。

 好スタートから3番手でしっかりと折り合いながら迎えた直線。残り400メートルで吉田隼の右ムチが入ると、一気に加速していく。先に抜け出したメイショウカドマツに外から並びかけ、力任せに頭差ねじ伏せた。父を思い起こさせるロングスパート。4歳時、準オープン・オクトーバーSをステップに重賞初制覇を飾った蹄跡まで同じだ。中川師にとっても開業10年目の重賞初V。「ゴール前では久々に力が入った」と笑いながら、「これほど悪い馬場は初めてでどうかと思ったが、何とかこなしてくれた」と振り返った。

 我慢の連続だった。昨年の菊花賞3着後、後肢に疲れが出て放牧へ。年明けに帰厩したが、体調が上がらず再放牧。復帰は今年の7月の洞爺湖特別(函館)までズレ込んだ。「結果的にじっくり休んだのが良かった。馬体も休養中に増えて、ラストの切れ味が増してきた」と師。菊花賞で476キロだった馬体重はこの日490キロ。「まだ成長の余地は残されている。体重が500キロ台に乗ればさらに良くなると思う」と続けた。「この馬のことを分かっている隼人くんが、ずっと乗ってくれているから」と同馬に6戦連続で騎乗した吉田隼に信頼を寄せてのV走。その鞍上も「この馬に対する思いは強い。馬主さん、先生、スタッフに“おめでとう”と“ありがとう”を伝えたい」と感謝の気持ちを忘れない。

 今後のローテーションは流動的。「ベストなコンディションで出したいので、しっかりと状態を見極めてから考えたい」と師は慎重な姿勢。居城要オーナーは有馬記念直行の可能性を示唆している。次走は父と同じローテでジャパンCか、それとも有馬記念まで待機か。ともあれ、G1ロードへ夢を広げるニューヒーローの誕生。雨に煙るVゴールの先に“名優”だった父の背中が見えた。

 ◆ゴールドアクター 父スクリーンヒーロー 母ヘイロンシン(母の父キョウワアリシバ)牡4歳 美浦・中川厩舎所属 馬主・居城要氏 生産者・北海道新冠町の北勝ファーム 戦績12戦6勝 総獲得賞金1億6651万2000円。

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