【フェブラリーS】トラン、極悪馬場でも貫禄仕上げ

[ 2012年2月16日 06:00 ]

<フェブラリーS>坂路、単走で追い切られたトランセンド

 12年の中央競馬G1シリーズの開幕戦「第29回フェブラリーS」の追い切りが15日、行われた。極悪馬場となった栗東トレセンで貫禄の動きを見せたのが昨年の覇者トランセンド。坂路で計時した4F54秒0は平凡なものだったが全体では何と2番時計タイ。陣営も状態の良さに太鼓判を押して、史上初となるこのレース連覇へ王手をかけた。

 雨が降ればウッドチップは重くなる。月曜、火曜にたっぷり雨が降った栗東の坂路は時計のかかり方が半端じゃなかった。日々、調教にまたがる厩舎スタッフが「最近ではちょっと記憶にない」ともらすほどの重さ。トランセンドの追い切りを見れば、それがはっきり分かる。楽な手応えでスイスイ駆け上がっているようでもモニターに計時されたタイムは4F54秒0~1F13秒5と一見、平凡。それでも2番時計タイだったのが仕上がりの良さを物語る。山下助手が稽古の感触を伝える。

 「(馬場が)グチャグチャでしたね。先週と比べても、さらに重かった。もともと悪い馬場だと動かないし、あんなもんでしょう。いつも通りの感じで追い切れたし、時計はそこまで気にしていませんよ」

 やるべきことはキッチリこなしてきた。昨年と同様、JCダートを勝った後はここ一本に絞ってみっちり稽古を消化。1週前にビシッと追ってレース当週は坂路でサッと追い切るのがこの馬の調整パターン。その1週前はポリトラックコースで6F73秒9、ラスト1Fも11秒5という超抜時計を刻んだだけに、全てが予定通りと言っていい。会見に臨んだ安田師は力強い口調で切り出した。

 「去年よりパワーアップして、今がちょうど一番脂が乗り切った時期。ホントいい状態ですよ」
 史上初となるフェブラリーS連覇、そして来月31日のドバイWCへ。昨年2着に敗れた国際舞台を目指し、再挑戦のシナリオは出来上がっている。あとは結果を出すだけだ。

 「まずはここに全力を注いで、それからドバイに足を運びたい。今回はマイルになるのですきを突く馬がいるかもしれないけどハネ返してほしいですね。この馬を信じています」

 GI4勝のダート王が今年も万全の仕上がりで冬の頂上決戦へ。東京マイルで培ってきた地力と今の充実ぶりを示す一戦になる。

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2012年2月16日のニュース