渡辺一 実家心配も世界選手権に出発

[ 2011年3月17日 06:00 ]

国際線出発ロビーで被災状況について話す渡辺一成(左)と新田祐大

 自転車競技2011年トラック世界選手権大会(23~27日、オランダ)に出場する福島支部の渡辺一成(27=88期)、新田祐大(25=90期)ら日本代表選手団が16日、成田空港から出発した。

 東日本大震災で福島県双葉町にある実家が倒壊した渡辺は「地震発生時(11日)は新宿にいた。被害を知り自転車を買って実家まで向かおうとしたが、既に売り切れていて…。11日の夜に父が公衆電話から連絡してきて家族の無事を知った」と振り返った。姉の遠藤あゆみさん(34)は「10日ほど前に第2子を出産したばかりだが、地震のショックから母乳が出ない」という。双葉町は東京電力福島第1原発の放射能漏れにより避難指示が出された地域とあって、悲痛な面持ちだ。

 同じ福島支部の新田は大震災の起こった11日、東京・渋谷の一時避難所で一夜を過ごしたが、12日に携帯メールで会津若松市内に住む家族の無事を確認。被災地への思いから、渡辺とともに今回の世界選参加を断ることも考えたが、岡部芳幸(40=66期)や伏見俊昭(35=75期)ら福島支部の仲間に“いい成績を残して、被災地に勇気を与えてくれ”とエールをもらい出場を決心した。

 監督の阿部道氏は仙台にいる家族と連絡が取れないため、今回の世界選同行を辞退。強化コーチの吉井功治氏が監督代行を務める予定になっている。

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2011年3月17日のニュース