“アウェー”魅了した矢沢永吉 「SPEED」プロデューサーが語る、演出と歌唱曲「真実」の凄さ

[ 2026年1月1日 07:05 ]

矢沢永吉 13年ぶり紅白出場

紅白のステージに立った矢沢永吉
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 90年代後半に日本中を席巻した女性グループ「SPEED」のプロデューサーで、矢沢の最新アルバムに作詞提供している音楽家の伊秩弘将氏(62)がスポニチ本紙に緊急寄稿。77年の矢沢の初武道館から48年間欠かさずライブを見てきた音楽人も仰天したサプライズ演出と歌唱曲「真実」の凄さを解説する。

 まさに度肝を抜かれた!年の瀬のまさかの超ウルトラサプライズと演出に、いまだに興奮が冷めやらない。これまでずっと歌謡界と一線を画し、生のライブステージに魂を燃やしてきた矢沢永吉さんにとって、本当にごくまれにしか出演しない紅白のようなテレビの晴れ舞台は、いわばアウェーである。

 だが矢沢さんはアウェーを自身の魅力を知らしめる最高の舞台装置に変えてきた。10代20代の女の子ばかりの「東京ガールズコレクション」や若い観衆が占める夏フェスへの出演、格闘技「K―1 Dynamite!!」の試合直前の高揚感の中で観客をアコギ1本のバラードで静寂へと包み込んだ「心花(ときめき)よ」の歌唱…。その数々の“完全アウェー”を熱狂と感動の渦に変えてきたのである。

 ソロデビュー50周年というとてつもない歴史の中で、当時どマイナーだったRock Musicを巨大なビジネスに確立させた先駆者であり、76歳になられた現在もなお、現場に毎年立ち続けている「矢沢永吉」という大樹から発せられた生歌は、その深く刻まれた年輪からの滴が、休符のブレスにまで一瞬たりとも途切れることなく見た人々の胸の奥まで染み渡るパワーと繊細さ、包容力に満ちあふれていた。

 壮絶な人生を自ら一つ一つ切り開いてこの境地までたどり着いた現在もなお、“常に気分良くいたい”というご自身の生きざまを具現するために、どれだけ見えないところで惜しみない努力を重ねているのか。たぶん軽く想像のはるか上だろう。

 そして矢沢永吉さんは最高のメロディーメーカーだというインパクトを知らしめた今回のバラード「真実」の曲作りに関しても、ここに来て新たなチャレンジをしている。これは無数にある矢沢楽曲の中でも本当に珍しいのだが、Aメロが1番と2番で違うのだ。

 一度機会があればご本人にお聞きしてみたいが、もしかしたら高い音程のフレーズから始まる2番のAメロが先に浮かんだのだが、良すぎてサビメロとぶつかり合ってしまい、あの美しいサビのメロをより際立たせるために、低い音から優しく始まる1番のAメロリフレインをその後に作られたのではないだろうか。そうすることによって、サビメロの入り口がより際立って、その後に続く2番のAメロもさらに高揚して伝わってくる見事な流れとなっている。

 2年前、私は150回目の武道館を見て「キレッキレの現役感で凄かったです」と雑誌に感想を書いたが、今も止まらずに年単位でアップデートし続けている矢沢さんは、今年のツアーはキレッキレにさらに“エレガント”が加わって、マイクターン、声量、セクシーさは、もはや全てが麗しいまでの領域に神化していた。そんな今年のツアーのアンコールを再現したような“真実”と“バリッバリ”の矢沢さんが、テレビを通して人々の胸の奥に深く深く刻まれた紅白のステージであったと思う。

 ◇伊秩 弘将(いぢち・ひろまさ)1963年(昭38)4月26日生まれ、東京都出身の62歳。87年、森高千里のデビュー曲「NEW SEASON」で作詞家デビュー。MISIA、LiSAらの作曲も手掛けた。

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