矢沢永吉 ソロ50周年 76歳2カ月で迎えた東京D “キツい旅”の果てに5万5千人タオルの花咲いた

[ 2025年11月10日 04:00 ]

東京ドーム公演を行った矢沢永吉
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 ロック界のカリスマ、矢沢永吉(76)のソロデビュー50周年記念公演が9日、東京ドームで開催された。前日8日からの2日間公演で計11万人を動員。76歳2カ月での東京ドーム単独公演は日本人最年長で、昭和、平成、令和の3元号にわたって同所で公演したのも今回の矢沢が初めて。記録ずくめのコンサートは、そのパフォーマンス自体も日本ロック史に残る名演と言える内容で、新たな伝説を刻んだ。

 アンコールで湧き起こったのは、5万5000人が総立ちで叫ぶ「永ちゃんコール」と、大観衆が色とりどりのタオルを曲に合わせて一斉に放り上げる名物「タオル投げ」。

 割れんばかりの大歓声と“5万人超のタオルの花”が咲く光景は、世界でここでしか見られない一大パノラマ。無形文化遺産に登録されそうな圧巻の空間で、矢沢は代表曲「トラベリン・バス」を合唱する大観衆の声に熱いものが込み上げてきた表情を見せ、深々と客席に頭を下げた。

 「皆さん、本当に今日はありがとう!ソロ50周年あっという間だったよ、本当に」。2時間20分の公演中、ファンへの感謝の言葉が何度も重なった。

 ♪きつい旅だぜ お前に分かるかい――。矢沢のソロ50年の軌跡は、最後に会場一体となって歌った「トラベリン・バス」の歌詞に凝縮されている。バンド「キャロル」の解散からソロに転向した直後。長崎・佐世保で観客200人しかいない屈辱を味わった。その経験をバネに地方の町をくまなく回り、ライブの評判で地道にファンを増やしていった。

 日比谷野音から日本武道館、そして東京ドームの前身の後楽園球場へ。会場の規模を大きくしていくことで「ビッグになる」という成功の過程を可視化させた矢沢の革新的手法は、その後のミュージシャンだけでなくスポーツ選手や経営者らさまざまな人たちに今も影響を与えている。

 先月末に6年ぶりの新アルバム「I believe」を発売したが、あえてこの日のラインアップには1曲しか入れず「世話がやけるぜ」「古いラヴ・レター」など47年前の後楽園球場のナンバーを7曲も歌った。実は東京ドーム、後楽園球場の両方で公演した日本人ソロ歌手は矢沢しかいない。そんな当時の矢沢に挑戦するかのような力強い歌声で、若い頃より太く重厚で哀感たっぷりに迫力満点に響いていく様子は“矢沢史上、今が一番”と思わせる圧巻のステージだった。

 矢沢は満杯の会場を見渡して「みんな見て。(客席が)パッツンパッツンだよ、うれしいよぉ~!」と歓喜の声を上げた。言わずと知れたロック界のカリスマ。クールな言い方でキメても良さそうだが、76歳になっても目の前の出来事に無邪気に反応するピュアな部分が、今もシンガーとして進化し続けている最大の要因だと思う。

 「まさか、こんなに長く歌えるなんて思ってもいませんでした。幸せです!」。打算や妥協を嫌い、夢や欲求に忠実に生きてきた男の生きざまが表れたライブだからこそ、観客は「永ちゃん!」と無邪気に叫ばずにはいられないのだろう。 (阿部 公輔)

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