野口健氏「峠は越えた」マナスル登山中に呼吸困難で搬送、一命取り留める 壮絶ルポ「涙流すシェルパも」

[ 2023年9月24日 14:22 ]

アルピニストの野口健氏
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 ネパール・マナスル峰登山中にアクシデントに見舞われたアルピニストの野口健氏(50)が24日、自身のインスタグラムを更新。現状と、アクシデントが起きた当時の状況を克明につづった。

 野口氏はこれまで3度、標高8163メートルのネパール・マナスル峰登頂に挑んできたが、いずれも登頂かなわず。今年、4度目の挑戦へ出発していたが、ベースキャンプに戻る途中に呼吸困難に陥り、血中酸素濃度が53%に低下。肺水腫の疑いで、ヘリコプターで救急搬送され、現地の病院に入院したことが事務所により明らかにされていた。その後、野口氏本人も「即入院となり、レントゲン、血液検査の結果が先程、医師から“炎症反応が非常に高い、白血球の数値も。敗血症に近い状況」と投稿していた。

 インスタグラムでは入院当初に比べると回復しつつある近影を投稿し、当時の状況を記した。

 「キャンプ2の下山中から異変がドカンと現れ、ヘロヘロになりながら夕方にキャンプ1へ。もう疲れたからキャンプ1で寝ようかなと思いながら血中酸素濃度を測ったら50パーセント台。これはヤバいとヘッドランプをつけてベースキャンプへ。真っ暗闇の中、あのクレバス地帯をふらつきながら降るのは大変でした。ベースキャンプについて数時間後、容態は更に悪化し、酸素ボンベをテントに持ち込む。毎分2~3リッターで酸素吸入するものの咳が止まらずその勢いで吐いてしまう。マスクの掃除が大変でした。『テントの中で溺死してしまう』のではないかという苦しみに恐怖。テント内は修羅場と化してました」と壮絶な状況だったことを振り返り、「シェルパ達が体をさすってくれたり。涙を流すシェルパもいて、もう、本当に申し訳なかった。シェルパたちに助けられました」とヒマラヤの案内人であるシェルパ族の人々に感謝した。

 「以前、敗血症の経験があるので、あの時の症状に似ているなと。横になると咳が酷くなるので朝方まで正座しながらの酸素吸入。医学的知識はゼロですが、前回の敗血症の時に感じたあの容赦なく迫ってくる生命の危機というのかな、同じものを感じ、これは一回、脱出せねばと」と命の危機を実感したという。

 「ちょうど中国隊の荷物をサマ村に下ろすヘリが何度もピストンしていたので、そこに乗せて頂きサマ村へ。しかし、容態は然程変わらず。サマからカトマンズまでのヘリの確保もままならず、ただ、エイシアントレッキング(登山隊やトレッキングを手配するエージェント)が素早く動いてくれて、なんとかひと席を確保。詳細はいずれ書きますが、何か一つでもダメだったならばあの日のレスキューは実現しなかった。あの日にレスキューされなければ、おそらくアウトだっただろう」とギリギリの状況で搬送されたことをつづった。

 「カトマンズの病院に直行。聴診器の診察では排水種。次にレントゲン、CTと検査が続き、両方の肺には水は確認できず。しかし、両サイドとも真っ白。つまり肺炎。血液検査の結果、炎症反応、白血球の数値が異常に高く『敗血症に近い状況ではないか』と。それから抗生剤の点滴を五日間、打つことに」(原文ママ)と治療に入った。「そして昨日になり、炎症反応や白血球の異常だった数値が落ち始めました。『敗血症までには至らず』とそんな説明だったかと思います」とした。

 「専門用語が英語でバンバン飛び交うので朦朧とする頭で理解するのが大変。担当医も『あなたは直ぐにヘリコプターに乗れてラッキーだった。直ぐにレスキューされなければ危なかった』と。峠は越えましたので、ただ、依然、両サイドの肺は肺炎。話すと咳が止まらなくなるので、寡黙なアルピニストは今日も寡黙に窓からカトマンズの空を眺めています」となるべく発声せずに過ごしている様子。「退院の目処がたっていませんので、帰国はいつの日になるか分かりませんが、もう、ジタバタしても仕方がありませんので、じっくりと体を休めます」と当面静養する。

 「あ~マナスル。8月からエベレスト山域で約3週間の高所トレーニングをして、足もいい感じに仕上がり、そしてあのマナスルが奇跡の晴天続き。『これはやれる。4度目の正直なるか』と思った矢先のアクシデント。マナスルは…もうマナスルはやめよう。たぶん、相性というものがあるのだと思う。もちろん、ぼくの力不足なのですが。もう、マナスルはやめにします」と今後のマナスル登頂を断念する意向を示した。

 「まずは、体を治します。お騒がせ致しました。そして今日からアタック体制に入ったAG隊の皆様の登頂と無事を願っております」と結んだ。

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