12時間58分制した 竜王戦は最年少対決 21歳藤井竜王を“泣かせた男”20歳の伊藤六段が挑戦

[ 2023年8月15日 05:10 ]

竜王戦でタイトル戦初出場を決めた伊藤匠六段
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 将棋の第36期竜王戦挑戦者決定3番勝負は14日、東京都渋谷区の将棋会館で第2局を行い、後手の伊藤匠六段(20)が永瀬拓矢王座(30)を146手で下して2連勝し、藤井聡太竜王(21)=王将、名人、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=への7番勝負初挑戦を決めた。

 午前10時の開局から実に12時間58分後、20歳の新鋭が骨太のタイトルホルダーをついに振り切った。終盤に形勢が二転三転する激戦を終えた伊藤は「自信のない展開にしてしまった」とか細い声で対局を回顧。栄光のタイトル初挑戦を決めたばかりなのに「今日の一局が際どい将棋だったので、あまり実感が湧きません」と目を伏せるばかりだ。

 今をときめく藤井とは同学年。小学校3年時の対局で勝利を収めた際、藤井を号泣させたエピソードはあまりに有名だ。だがプロ入りは藤井の2016年から4年後の20年。18年に藤井が朝日杯で棋戦初優勝を飾った対局では記録係を務めていた。

 「藤井を泣かせた男」は史上空前の出世劇を歩むかつての好敵手の陰に隠れながらも徐々に力を付けてきた。2年前には藤井を際どくかわして最高勝率賞を獲得。内に秘めた才能を徐々に開花させ、この日の勝利で12連勝と強さを誇示した。

 タイトル戦自体が初出場。しかも相手は因縁の藤井。プロ棋士としての公式戦対戦成績は2戦2敗だ。「大変強い方なので、何とか番勝負を盛り上げられるよう頑張りたいと思います」と抱負を口にした。規定により七段に昇段。そして記録もつくった。開幕局時点で藤井、伊藤の年齢合計は41歳。これは1990年の第57期棋聖戦で対戦した屋敷伸之棋聖(当時18歳)―森下卓六段(当時24歳)の計42歳を更新するタイトル戦年少記録だ。若者同士の火花散る戦いが将棋界の新時代を告げそうだ。 (我満 晴朗)

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