二次虫歯&根元虫歯の予防法 「フフフがスキ」始めましょう

[ 2023年7月14日 05:30 ]

虫歯予防に「フフフがスキ」
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 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(72)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は、一度治療した虫歯が再び虫歯になる「二次虫歯」と、大人特有の「根元虫歯」についてです。

 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。「8020運動」聞いたことありますよね?80歳で自分の歯を20本残すこと。厚生労働省の調査では、2022年の達成率が51.6%。1993年(平5)の調査では10.9%だったので、この30年で5倍に。いまや日本の80歳の半分以上の方が、20本以上の歯を持っています。運動は大成功ですが、実は自分の歯がたくさん残っているがゆえの問題も起きているんです。「二次虫歯」「根元虫歯」と呼ばれる虫歯。私も先日、二次虫歯と診断されました。口腔(こうくう)ケアには人一倍気を使っているだけにショックでした。テクノポートデンタルクリニック(東京都大田区)院長で日本歯科大学付属病院臨床教授の倉治(くらじ)ななえ先生にお話をうかがいます。しっかり学んでいきましょう。

 倉治先生、二次虫歯とはどういうものですか?
 「1回治療した虫歯が、また虫歯になることです」

 治療したのに、また虫歯とは。原因は何でしょうか。
 「銀歯などの詰め物と歯の間にミクロの隙間ができて、そこから唾液の中にある虫歯菌が侵入していくのです。熱いものを食べたり、冷たいものを飲んだりすることで、銀歯も土台の歯も膨張、収縮を繰り返します。金属と有機物の歯では膨縮の率が違うので、治療から数年経過すると、どうしても隙間ができてしまうのです」

 予防はできないんですか?
 「皆さん、再石灰化という言葉をよくお聞きになると思います。酸によって歯の表面からミネラルが溶け出すことを脱灰(だっかい)といい、溶け出したミネラルが唾液によって元に戻されることが再石灰化です。口の中ではこの脱灰と再石灰化が交互に起きています。この再石灰化の力になるのがフッ素とキシリトール。フッ素とキシリトールを唾液の中に漂わせておけば、詰め物と歯の隙間から入り込んでくれます。フッ素とキシリトール入りの唾液は最強のリンス剤です」

 高濃度フッ素配合、という歯磨き粉をよく見ます。
 「国内のフッ素の配合率は現在、1500ppmが上限。1450ppm配合の歯磨き粉が多く流通していますから、選んで使ってみてください」

 フッ素を唾液にとどまらせるということは、すすぎ過ぎるとよくないんですか?
 「そうです。歯磨き粉を2センチ出して磨いた場合、大さじ1杯、15CCほどの水で5秒間ぶくぶくして吐き出す。1回だけで終わりです」

 15CCといえば、ペットボトルのキャップ2杯分ぐらいですけど。それでいいんですか?
 「はい、大丈夫です。歯科医院では口の中に残りにくい歯磨き粉も扱っています。キシリトールはガム、タブレットで摂取できます」

 倉治先生は「フフフがスキ」という標語で虫歯の予防と治療を呼びかけていらっしゃるんですよね。
 「フフフの最初の2つは、朝晩の高濃度フッ素歯磨き。3つ目は歯科医院での高濃度フッ素の歯への塗布です。保険適用ですので、お勧めします。スは、シュガーの英語の頭文字su。砂糖はとっても問題ないのですが、ダラダラと食べるのは良くありません。時間を決めて食べて、その後は歯磨き。キのキシリトールはご紹介した通りです」

 フフフがスキ。響きもいいですね。洗面所に鏡に書いた紙を貼っておくのもいいかもしれません。ところで倉治先生、「根元虫歯」というのもあるんですよね。これは二次虫歯の一種ですか?
 「別ものです。根元虫歯は、歯周病で骨が溶けて骨の中に埋まっていた歯の根元の部分が口の中に露出。根元は、歯を覆っているエナメル質ではなく象牙質。この象牙質の部分が虫歯になるのが根元虫歯です。硬いエナメル質とは違い、象牙質は軟らかいので虫歯になりやすい。“フフフがスキ”はこの象牙質の強化にも効果が期待できますよ」

 歯周病で歯茎が露出するとは、根元虫歯も大人特有のようですね。
 「8020運動で自分の歯が残るようになったことで発生した虫歯ともいえます。皆さん歯が抜けていた昭和の時代にはなかったことです」

 歯が20本以上残るなんて素晴らしいことですが、一方で悩みも生まれてしまったんですか。
 「二次虫歯は最初、痛くないことが多いです。神経に達すると痛み出す。痛くなったら虫歯がかなり進行していると思っていただいてもいいかもしれません。二次虫歯はエックス線で分かります。歯科医は詰め物と歯のわずかな隙間も見つけます。定期的に歯科医院でチェックを受ければ、二次虫歯、根元虫歯のリスクは減らせます」

 人生100年時代。一生自分の歯で、おいしいものを食べたいじゃないですか。倉治先生も「初期の虫歯なら、フッ素やキシリトールで修復できる」とおっしゃってます。きょうから「フフフがスキ」始めましょうよ。

 ◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の72歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。健康に関する名物コーナーに登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。75歳の現役医師・鎌田實さんとの共著「70歳からの『貯筋』習慣」(青春出版社)が販売中。

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