歌舞伎俳優・市川左團次さん 右下葉肺がんのため死去 82歳 敵役の演技に定評も

[ 2023年4月16日 15:03 ]

市川左團次さん
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 歌舞伎俳優の市川左團次(いちかわ・さだんじ=本名・荒川欣也)さんが15日午前3時48分に右下葉肺がんのため死去したことが16日、松竹から発表された。享年82歳。

 市川さんは1940年(昭15)11月12日、東京都出身。三代目市川左團次の長男で、1947年(昭22)5月、東京劇場「寺子屋」の菅秀才で五代目市川男寅を名乗り初舞台。1962年(昭37)2月歌舞伎座「曽我の石段」の八幡三郎などで五代目市川男女蔵を襲名。1979年(昭54)2月歌舞伎座「京人形」の左甚五郎、「毛抜」の粂寺弾正で四代目市川左團次を襲名した。

 尾上菊五郎劇団としての世話物に留まらず、時代物、新歌舞伎における重厚な演技に芝居の厚みを加える、歌舞伎界における貴重な俳優。敵役の演技に定評があり、歌舞伎十八番「暫」の清原武衡、「助六」の意休、「実盛物語」の瀬尾十郎、「御所五郎蔵」の星影土右衛門などでは圧倒的な存在感を発揮。「髪結新三」の長兵衛、「らくだ」の佐兵衛、「魚屋宗五郎」の家老浦戸十左衛門や「盛綱陣屋」の和田兵衛秀盛、「仮名手本忠臣蔵」の高武蔵守師直、不破数右衛門、「夏祭浪花鑑」の釣舟三婦、「身替座禅」の奥方玉の井、「夕顔棚」の爺など、老け役から女方、敵役からユーモラスな役柄を広く演じていた。

 最後の舞台は2023年(令5)1月国立劇場「遠山桜天保日記」羅漢尊者。1997年(平9)第十八回松尾芸能賞優秀賞、1998年眞山青果賞特別賞。2011年(平23)旭日双光章。2016年(平28)度日本芸術院賞を受賞。

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