岩井俊二監督 同じ仙台市出身の羽生にエール「より自由な翼を手に入れ、さらなる進化と深化を」

[ 2022年7月21日 05:30 ]

21年の世界国別対抗戦エキシビションで「花は咲く」を滑る羽生結弦

 フィギュアスケート男子で2014年ソチ、18年平昌両冬季五輪王者の羽生結弦(27)が競技会からの引退とプロスケーターへの転向を表明してから一夜明けた20日、ゆかりある人々がねぎらいの言葉を送った。東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」の作詞を手掛けた映画監督・岩井俊二氏(59)が本紙の取材にエールを送った。

 映画「Love Letter」などで知られる岩井氏は、羽生と同郷の仙台市出身。作詞を担当した「花は咲く」を羽生は思いを伝えたいタイミングで選曲。切なくもはかないメロディーと歌詞に乗せ、氷上を滑り、多くの人の心を揺さぶった。岩井氏はそんな姿に思いをはせ「羽生さんは時代の表現者だと思います」と語った。

 震災10年の2021年、大阪で行われた世界国別対抗戦エキシビションでも羽生は特別な思いを秘めて「花は咲く」を舞った。会見で「震災の時もその後のシーズンも、僕はもっと若くて、被災地代表と言われたくない気持ちもありました」と吐露。それでも「感謝の気持ちがあって、自分が滑ることによって何かの意味を見いだしていければ」と語っていた。ファンの間では「指先まで思いがこもっていた」と話題のパフォーマンスだった。

 同曲は12年3月からNHKで放送され、さまざまなバージョンで制作。羽生が最初に舞ったのは、14年6月だった。アイスリンク仙台で、この時は復興への祈りを込めた。同年11月には10代最後の試合となったNHK杯で、世界に向けてメッセージを届けた。

 プログラム終盤では、羽生がガーベラの花を抱きしめる場面がある。同曲のジャケットにはガーベラの写真が使用されており、曲を語る上で外せないキーワード。花言葉は「希望」。プロスケーターとして新たな夢へと挑戦する羽生に、ぴったりな言葉だ。

 岩井氏は「今回の引退も単なる通過点。より自由な翼を手に入れた。さらなる進化と深化に期待しています」。同郷の表現者として、これから一層の輝きを願っていた。

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