藤井王将 王座戦で大橋六段に敗れ、4カ月ぶり黒星 最短での6冠達成は来年2月開幕の棋王戦まで持ち越し

[ 2022年5月6日 22:44 ]

王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦で大橋貴洸六段に敗れ、ぼう然とした表情の藤井聡太王将(提供・日本将棋連盟)
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 将棋の藤井聡太王将(19)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=が6日、大阪・関西将棋会館で、第70期王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦に臨み、大橋貴洸(たかひろ)六段(29)に129手で敗れた。例年9月開幕の王座戦5番勝負への挑戦を逃し、最短での6冠は来年2月開幕の棋王戦5番勝負まで持ち越された。

 「初戦敗退は残念。王の薄い形で戦いが起こってしまった」

 藤井の黒星は1月、永瀬拓矢王座(29)に敗れた朝日杯以来4カ月ぶり。戦型は矢倉へ進み、藤井は王を中住まいに。序盤から惜しみなく時間を使うスタイルを貫き、42手目に1時間9分の長考。1分将棋に突入した86手目、1時間6分を残す大橋に対し、劣勢は明らかだった。16年10月に四段昇段した同期生には、初対戦から連勝したがその後4連敗となった。

 藤井が4連敗したのは、初対戦から6連敗した豊島将之九段(32)との2人しかいない。その豊島とは昨年4勝1敗だった王位戦、4連勝した竜王戦で対戦成績を逆転し、13勝10敗とした。全棋士で2差で負け越すのは1勝3敗の深浦康市九段(50)との2人になった。

 そして指し手同様に注目されたのが、服装だった。スーツが紺の上下にストライプのネクタイだった藤井に対し、大橋はピンクのパンツ姿で現れた。上着はグレーで、ネクタイは渋めの黄色。10歳違いの同期生対決は装いも好対照だった。

 「(形勢は)難しくてよく分からなかった。次もしっかり指せればと思う」。振り駒で先手に決まり、角道を開ける自然な初手に2分近くを投じ、気迫を示した大橋は終局後、淡々と振り返った。

 現在叡王戦5番勝負で出口若武六段(27)の挑戦を受ける藤井は第1局を先勝し、15日に第2局を迎える。その後、棋聖戦、王位戦と防衛戦が続く。「内容に関して修正できるようにしたい」と出直しを誓った。

《昼は「イレブン」看板メニュー選択》
 新年度初の本拠地・関西将棋会館での対局に、藤井は同会館1階にあるレストラン「イレブン」の看板メニュー「珍豚美人(ちんとんしゃん)」を昼食に選んだ。豚肉を天ぷらで揚げたスタミナ食で、1日制では6時間の名人戦順位戦に次ぐ5時間の対局に備えた。夕食は「野菜カレー」(CoCo壱番屋)。一方、大橋は「小雀弥(こがらや)」から昼食に「肉うどん」、夕食「鍋焼きうどん」とうどんを連投した。

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2022年5月6日のニュース