井山裕太4冠 32歳で紫綬褒章受章 従来の年少記録を24歳更新「成長できるよう精進したい」

[ 2022年4月28日 05:00 ]

紫綬褒章を受章した井山裕太4冠
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 井山裕太4冠(32)が学問や芸術などで功績を残した人に贈られる紫綬褒章を受章した。囲碁界からの受章は19年の趙治勲名誉名人(65)以来3年ぶり。18年、国民栄誉賞にも輝いた井山は「非常に名誉なこと。棋士としても人間としても、少しでも成長できるよう精進したい」と語り、家族や師匠など自分を支えてくれた人々へ感謝の言葉も添えた。

 32歳の若さは、日本棋院に記録が残る58年以降の13人で、木谷実九段の56歳を24歳も更新する最年少受章となった。棋聖、名人、本因坊、王座、天元、碁聖、十段という7大タイトルがある囲碁界。2016年に初めて7大タイトルを同時制覇。翌年に2度目のタイトル独占を達成した功績が評価され、国民栄誉賞を受賞していた。

 一力遼棋聖(24)、許家元十段(24)、芝野虎丸九段(22)。19年以降「令和三羽烏」の台頭を受け、AIを活用した研究に励むが「長年自分の中でやってきたことと変化したところも大きい。いろんな変化、考え方があると感じる」と告白する。32歳は中国や韓国勢との国際棋戦では「かなり年長」。それでも、全7冠の過半数を保持する。

 ここ3年、メンタルトレーニングを導入する。心技体の心理が占める勝負へのウエートの大きさを自覚するからで、改善の余地を実感すると共に自らの伸びしろに手応えも抱く。

 今年は9月、中国・杭州市でのアジア大会にマインドスポーツとして囲碁が12年ぶりに採用され、井山も出場が内定した。アジア大会出場は、その前回広州大会以来自身2度目。スポーツ同様ドーピング検査が予定され、スーツではなくジャージ姿での対局となる。

 「現状を維持しようという意識で結果を出し続けるのは難しい。長く戦う上では現状に満足せず、前を見てやっていけたら」。その原動力は囲碁に対する敬意。「一番夢中になれるもの。自分を素直に表現できる」とその探究心は尽きることがない。

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2022年4月28日のニュース