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「おかえりモネ」総集編 りょーちん「綺麗事」「タイトル回収」の舞台裏 永瀬廉“憑依”番組CPも絶賛

[ 2021年12月29日 08:15 ]

連続テレビ小説「おかえりモネ」第98話。百音に辛辣な言葉をぶつける亮(永瀬廉)(C)NHK
Photo By 提供写真

 女優の清原果耶(19)がヒロインを務めた今年前期のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」は29日、総集編(前編=後3・05~4・30、後編=後4・30~5・55)が放送される。東日本大震災を背景に「人の痛みと再生」に誠実に向き合い、見る者の心を静かに突き動かし続けた感動作。同局「透明なゆりかご」(2018年)「サギデカ」(19年)に続き、脚本の安達奈緒子氏とタッグを組んだ制作統括の須崎岳チーフプロデューサー(CP)にドラマを振り返ってもらった。

 <※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算104作目。清原が主演した「透明なゆりかご」やテレビ東京「きのう何食べた?」などを手掛けた安達氏が丹念に紡いだオリジナル作品。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を繊細に描き上げた。

 残り25話となった第96話(9月27日)から最終章・第3部「気仙沼編」に突入。しかし、百音が気仙沼に戻っても、そう簡単に物語は帰結しない。

 亜哉子(鈴木京香)の“あの日”の告白、亮(永瀬廉)が乗った船の難破、新次(浅野忠信)の“あの日”への1つの区切り、耕治(内野聖陽)の銀行退職と家業のカキ養殖継承、菅波(坂口健太郎)の結婚あいさつと緊急帰京、未知(蒔田彩珠)の“あの日”の告白…。目まぐるしく展開した。

 最終章の激動の起点となったのは、亮の「綺麗事」発言。第98話(9月29日)、幼なじみたちが久々に永瀬家に顔を揃える。亮は百音に帰ってきた理由を聞くと「地元のために、働きたかった?(百音の頷きに、薄ら笑い)ごめん。綺麗事にしか聞こえないわ」と、らしからぬ辛辣な言葉をぶつけた。

 SNS上には「りょーちんの闇落ち感」「りょーちん、初めてモネにきつい言葉をかけた」などの驚きの声とともに「りょーちんの『綺麗事』はキツいけど(東京の汐見湯で亮を受け入れなかった)モネが言った『これで救われる?』を今、逆に問い直されているんだな。以前『正しさ』と『覚悟』を突きつけられたのだから、モネにも問うのはそりゃそうだよね。りょーちんだから言える言葉だわ…(この2人、武士みたいだな)」「りょーちんの反応はあり得ますが、頑張って資格を取って、東京で厳しい仕事して力を培って、それを故郷に還元しようというのを『綺麗事』と切って捨てるのは、単に『オレは泥沼で苦しんできたのに、おまえはその経験ないよな?』っていう半ばひがみの気持ちでしかないと思います」などと賛否が分かれ、波紋を呼んだ。

 須崎CPは「物語の主人公というのは、直面した課題を乗り越えていくもの。確かに、モネが故郷・気仙沼へ帰ってしまったら『もうドラマ終わりじゃない?』と言われそうです(笑)。ならば、モネの新たなジレンマとは一体何なのか。このチームは『ああでもない、こうでもない』と、安達さんとの本打ち(脚本の打ち合わせ)でしょっちゅう延々話し合っているようなチームでしたが、その中から『綺麗事』というワードにたどり着きました。『その土地を離れるか、離れないか』は、この作品の1つの大きなテーマですが、ずっと地元にいる人、いったん離れて戻る人、戻らない人という3つの立場を考えていくうちに『地元に残っている人の中には、モネのような人を“綺麗事”と思うようなこともあるんじゃないか』と」と述懐。

 チーフ演出の一木正恵監督も重要なシーンと捉え、細部までこだわり抜いた。

 例えば「座る位置=ステージングは極めて重要です。季節が夏ならばガラス戸を開け放ち、廊下縁側庭なども人物を配置する場所になりえますが、11月の東北なので、こたつに入る配置にします。モネはテーブルのセンター席、いわゆるお誕生日席に座ることが多いですが、ここではホスト役としての位置にしました。テーブルに出ているつまみ類は、親が用意したものではなく、モネが準備したものです。モネの位置も、家に友人を招きホスト役をする十分な年齢となったことを示すための演出です。亮は後から来るので、最も庭に近い位置に配置します。未知の位置は、寝てしまった悠人(高田彪我)と三生(前田航基)に毛布をかけてやることを『利用して』意図的に途中で変えています。この後、モネと亮のガチの対決に備えること、そして未知が、モネとの約束『私がそばにいる』を守り、3年にわたって亮をさりげなくそばで支えてきたことを、視覚的に印象付けるためです」(NHK広報局「note」から)

 須崎CPは「脚本になって『綺麗事』の台詞を読んだ時、りょーちんにしては随分きつい物言いかもなと思いましたが、永瀬くんは鋭く言い切りましたよね。『りょーちんは腹の中にそこまで深い何かを持っているんだな』『モネはこの試練にも向き合わないといけないんだな』と予感させるシーンになりました。彼はこの辺りから完全にキャラクターを自分のものにしていて、りょーちんにしか見えなくなりましたね。清原さんも憑依型の女優さんと評されることがありますが、永瀬くんにもりょーちんが“おりてきた”んじゃないでしょうか」。オーディションによる起用だったが、永瀬のポテンシャルを見抜く先見の明があった。

 最終回(第120話、10月29日)は、未知の大学合格を祝うため、東京の明日美(恒松祐里)も帰省し、幼なじみ6人が永浦家に集結。皆が見守る中、百音は“あの日”以来、閉じたままだったサックスケースを開ける…という展開だった。

 亮は「おかえり、モネ」と“タイトル回収”の大役を担ったが「こういうことを言うと怒られそうですが、僕は実は『亮がタイトルを回収した』とはあまり思っていないんです。りょーちんは幼なじみ全員の気持ちを代表しただけで、みーちゃん(未知)に続く会話の流れ上、りょーちんが最後に言うことになりましたが、誰の台詞でもあり得ました。りょーちんは黙って見ていただけかもしれないし、だとしても変わらない存在感を出してくれたはずです。あの場面は明日美、三生、悠人を含めた5人全員でモネを受け止め、『おかえりモネ』と伝えるシーン。そんな思いを込めて作りました」。1シーン1シーンにキャストとスタッフの心血が注がれた。

 ◆須崎 岳(すざき・たかし)1973年(昭48)生まれ、愛知県出身。98年、NHK入局、初任は大阪局。主なプロデュース作品に「透明なゆりかご」「サギデカ」「弟の夫」「運命に、似た恋」、連続テレビ小説「花子とアン」、「恐竜せんせい」「真珠湾からの帰還」など。主な演出作品に「鉄の骨」「散歩する侵略者」など。

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