「おかえりモネ」舞台・気仙沼に熱気続く!りょーちん効果 漁港に“異例現象”ホヤぼーやグッズも売上増

[ 2021年12月29日 09:00 ]

気仙沼港を訪れる人たち(かとうまさゆき写真事務所提供)
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 女優の清原果耶(19)がヒロインを務めたNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台となった宮城・気仙沼。10月の放送終了から2カ月も、「おかえりモネ」展の来場者が5万人に到達するなど、地元はドラマの熱気が続いている。

 朝ドラ通算104作目。清原とタッグを組んだNHK「透明なゆりかご」やテレビ東京「きのう何食べた?」などで知られる安達奈緒子氏が丹念に紡いだオリジナル作品。朝ドラ脚本初挑戦となった。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を繊細に描き上げた。

 「おかえりモネ」展は気仙沼市魚市場に隣接した観光物産施設「気仙沼 海の市」2階の「UMI―ICHI ホヤぼーやホール」で今年7月から開催中(入場無料)。メインコーナーには、タイトルバックに実際に使われた“なないろの布”を大胆にあしらった「モネなりきりフォトスポット」を設置。名場面の特大ビジュアル、安達氏やキャストのインタビューなど、ドラマの世界にどっぷり入り込める空間になっている。

 “なないろの布”は12月末までNHKに出張中。代わりに、来年1月23日まではスタジオ撮影時にセット前室に飾られていた「キャスト自ら作成の、てるてる坊主」が特別展示される。

 今月11日には来場者5万人到達記念セレモニーを実施。5万人目は群馬県から訪れた40代の女性2人。菅原茂市長から記念品が贈呈された。

 2人は「宮城に用事があったので、是非に、と気仙沼にも立ち寄りました。無条件に引き込まれるドラマだったと思います。震災当時、自分もボランティアに行きたい気持ちはあったのですが、まだ子どもが小さかったこともあり、踏み出すことができず。このドラマを見て『思ったことは行動に移すべき』と感じました」「初回から毎日、多い時は1日3回見ることもあったぐらいで、これからも繰り返し、見続けたいと思います。このドラマを見ると『今日も1日頑張ろう』という気持ちになれました。モネちゃんのすべてに全力なところが大好きです」などと語り、5万人目の来場者になったことを喜んだ。

 作品に縁のある土地を巡る「聖地巡礼」。気仙沼港を歩いて回る女性の姿が目立つようになった。

 これは、アイドルグループ「King&Prince」の永瀬廉が百音の幼なじみ“りょーちん”こと漁師・及川亮役を好演した影響。中には、永瀬の「マスコットキーホルダー」や「うちわ」を持参し“永瀬と一緒に”旅を楽しむかのような人も。市の観光キャラクター「海の子ホヤぼーや」のマスコットキーホルダーを、百音の同級生キャストが気仙沼ロケ時にお土産に買ったというが“お揃い購入”も増えている。

 気仙沼市観光課は「若い女性が漁港を周遊している様子は、ドラマ放送前にはなかなか見られない光景」と“異例の現象”に驚き。「ドラマをきっかけに1つの観光スポットとして注目され、ありがたく思います。是非、多くの方にお越しいただき、ドラマの世界観に浸っていただければ」と感謝した。

 「海の子ホヤぼーや」のマスコットキーホルダーは、第6話(5月24日)に登場。女優の蒔田彩珠が好演した“みーちゃん”こと百音の妹・未知が、憧れの亮に遭遇し“胸キュンガッツポーズ”したのが反響を呼んだ回。ホヤぼーやキーホルダーは未知のスクールバッグに付いていた。劇中登場したのは第6話の1シーンだけだったが、同級生キャストによるお土産購入情報もあり、多い月には昨年に比べ約8倍の売れ行きとなった。

 俳優の坂口健太郎が好演し、SNS上で「#俺たちの菅波」と大人気となった医師・菅波は大のサメ好き。気仙沼には日本唯一のサメの博物館「シャークミュージアム」(海の市2階)があるが、入場者数は昨対比1・3倍となった。また、サメ革製品を中心に扱う市内のサメ専門店「シャークス」が放送前から販売していた「サメぬいぐるみ」は、菅波の“気仙沼土産”として第21話(6月14日)に登場。従来は週に数個程度だった売り上げが、多い月は150個以上となった。

 第40話(7月9日)にも登場した気仙沼の冬の風物詩「けあらし」の見学ツアー(朝食付き)が来年1月10日(月・祝)早朝(午前6時30分~8時10分頃)に開催される。盛況だった12月5日に続く第2弾。気象予報士の矢澤剛さんが引き続きガイドを務める。

 「けあらし」は陸地の寒気が海や川に移動し、海水面の水蒸気を冷やして霧に変える、幻想的な自然現象。「蒸気霧」とも呼ばれ、よく晴れて風が弱くないと発生しない。気仙沼に冬を告げる風物詩として知られる。

 企画したのは、宮城県に縁のある菅原寛正さん(現在は山形県在住)。劇中、気仙沼に戻った百音が「けあらし見学ツアー」を市役所勤務の悠人(高田彪我)に提案(最終的にはボツ)し、菅原さんも「学生時代に2年間、宮城県に住んでいたこともあり、以前は旅行会社に勤めていたので、是非実施してみたいと思いました。ガイトは宮城で活躍中で、モネと同世代の矢澤さんにオファー。ちょうどドラマ放送のタイミングで、たまたま矢澤さんの講演会に参加し、名刺交換をしていたんです。ドラマと親和性の高い矢澤さんでなければ、この企画は意味がないと思っていたので、快諾いただき、とてもうれしかったです」と振り返った。

 宮城のテレビ局で気象キャスターも務める矢澤さんは「1回目のツアーは冷え込みが足りず、大きなけあらしを見ることはできなかったのですが、こうして気象に絡んだ観光資源を見に、遠くからも多くの方に来ていただき、気仙沼に貢献できていることをうれしく思います。ドラマやツアーを通じて、気象に興味を持つ人が増えているように感じられるのは、気象予報士としての喜び。1月のツアーは寒さ対策をしながら、気象が織り成す絶景を楽しんでいただければ。そして、もっと多くの方に気象に興味を持っていただけるよう、今回のツアーをはじめ、モネのように、いろいろなことに取り組んでいきたいと思います」と語った。

 定員は現地参加10人(最少実施人数5人)、オンライン参加20人。料金は現地参加3000円、オンライン参加500円。詳細は公式サイト「気仙沼さ来てけらいん」(https://kesennuma-kanko.jp /kearashitour_20211205_1212/)へ。

 29日は総集編(前編=後3・05~4・30、後編=後4・30~5・55)が放送される。

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