ラミレス前DeNA監督の妻 ダウン症の長男の保育園断念で泣いた日も…今は「できないことは全然ない」

[ 2021年5月10日 22:49 ]

DeNA・ラミレス前監督
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 プロ野球・DeNAの前監督、アレックス・ラミレス氏(46)と、その妻・美保さん(38)が10日放送の日本テレビ「人生が変わる1分間の深イイ話」(月曜後9・00)にVTR出演。生後「ダウン症候群」と診断された長男の子育てについて語った。

 15年4月、長男・剣侍(けんじ)くん(5)が生まれ、ダウン症と診断されたとき、美保さんは思わず泣き崩れたという。様々な感情が揺れ動くなか、救われたのはラミレス氏の何気ない言葉だった。「ダウン症かもしれないし、ダウン症じゃないかもしれない。でもそれに何の問題があるの。今日あなたはこんなに大変な出産をして、こんな素敵な子どもが生まれた。そこに何の問題があるの」。

 剣侍くんは、生後2カ月で3時間に及ぶ心臓の大手術、1歳でノロウイルスに感染。2歳を過ぎ歩けるようになると、危険が理解できないため、下り階段に勢いよく飛び込もうとしたり、踏切に飛び出そうとしたこともあった。1秒も気が抜けない状況が続いた。

 しかし、ただ苦しい日々だけではなかった。剣侍くんが初めて1人で手を洗えた日、初めてトイレに行けた日、初めて1人でご飯を食べきった日、忘れられない思い出がたくさんあるという。現在、6歳となり元気に弟と妹と遊ぶ剣侍くんを見て、美保さんは「おいしいものをおいしいと言える、それだけで十分じゃないですか。希望がありますね、こんな風になると思ってなかったからから」と笑顔を見せた。

 明るく子育てできるようになったのは、剣侍くんが3歳のときのある出来事がきっかけだったという。次男を出産間近の臨月のことだった。ラミレス氏の沖縄キャンプも重なり「とにかく学校に入れよう」と、身重の体で1人保育園探し。なんとか見つけた保育園の親子教室も終わり、いよいよ入園となったときに、ある言葉を告げられる。「剣侍くんの主治医の先生に2日間、剣侍くんが登園から帰るところまでを見ていただいて。オッケーが出たら、次はお母さんに同じように1週間見てもらいたい。それでお母さんも、先生も問題がないということだったら、またそこでお話をしませんか」。

 美保さんは、その言葉を受けて「『来たな』って思った。すごくかわいい子が生まれて、ハッピーなんだけど、社会に溶け込めない。現状、社会に選択肢がないと思って」。入園を断念し、保育園を出ようとすると、「剣侍はわかってないから『バイバイ!』と笑顔で。切なさと悲しさと悔しさと、いろんな感情がこみ上げてきて、道を歩きながら泣いて。『私は一生、剣侍にいろんなことをさせてあげよう』」と、決心した。

 「6年間で『ダウン症だからできない』とか『ダウン症だから』ってことは、全然やってこなかった。ダウン症か左利きか、それぐらい。彼が持ってる特性であって、何の変わりもない。だから弟と対等にケンカするし、弟も対等にケンカする。ダウン症だからできないことはない」と美保さん。剣侍くんは来年、小学校に進学する。

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2021年5月10日のニュース