「太陽にほえろ!」ボン刑事死す 宮内淳さん70歳、直腸がん 「七曲署」人気絶頂期支える

[ 2020年9月7日 05:30 ]

若き日の宮内淳さん

 刑事ドラマ「太陽にほえろ!」のボン刑事役で人気だった俳優の宮内淳(みやうち・じゅん)さんが8月14日、直腸がんのため亡くなった。70歳。愛媛県出身。故人の遺志により、葬儀は同17日に近親者のみで営まれた。

 宮内さんが代表理事を務めていた公益財団法人地球友の会によると、宮内さんは直腸がんと診断され入院。家族に見守られる中、息を引き取った。同会は「日ごろから宮内は死ぬということはこの世でのお役目を終えて卒業し次のステージに行けるということでもあるのだから、どうか悲しまないでほしいと語っておりました」としている。

 宮内さんは大学中退後、文学座演劇研究所に入所。日本テレビ「太陽にほえろ!」(72~86年)で俳優デビューし、75~79年まで田口良刑事役で出演した。ニックネームは「ボンボン」を略した「ボン」。1メートル82の長身と野性味あふれる風貌だが人のいい役柄で、宮内さんは「なにも知らないボンボン刑事というのは、僕の地にも合っている気がします」と当時語っている。

 勝野洋(71)が演じた「テキサス」こと三上順と若手コンビを組み、番組の人気絶頂期を支えた。テキサスが殉職した76年9月放送の「テキサスは死なず!」は番組史上最高の視聴率42・5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録。ボンは79年7月放送の「13日金曜日・ボン最期の日」で犯人の凶弾に倒れ殉職した。

 勝野とは77年から大正製薬「リポビタンD」のCMでもタッグを組んだ。男性タレント2人が力と友情で危機を乗り越え、最後に「ファイト!一発!」と叫ぶシリーズの初代コンビとなった。

 50歳を過ぎると芸能界を事実上引退し、環境問題の啓発活動に力を入れた。きっかけは80~90年代に旅番組のリポーターとして世界中を旅したこと。大自然や秘境に足を踏み入れ「日本人の暮らしは本当に幸せなのか」と、04年に「地球友の会」を設立。国連機関の機関誌発行や写真展の開催などを通じて、地球を愛する大切さを訴えた。

 ◆宮内 淳(みやうち・じゅん)1950年(昭25)5月28日生まれ、愛媛県出身。西南学院大学中退後、75年に文学座演劇研究所を卒業。同年10月から「太陽にほえろ!」に出演。他の出演作に、「あさひが丘の大統領」など。82年には「影絵劇団かしの樹」を設立し、子供の情操教育に力を注いだ。趣味のスカイダイビングでは、90年に連盟を発足させ、自ら理事長となった。

 ▽太陽にほえろ! 石原裕次郎さん主演で日本テレビで1972年から86年まで計718回放送された日本の刑事ドラマの代表格。警視庁七曲署を舞台にした群像劇で、松田優作さん演じたジーパンら刑事たちの殉職シーンが話題を呼んだ。

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