米朝五年祭が初日 米団治「普段通りの芸を届けます」、3密避け5カ月遅れで開催

[ 2020年8月19日 18:27 ]

「桂米朝五年祭 米朝まつり」で米朝さんの遺影の前で客を出迎える桂米団治(中央)
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 「桂米朝五年祭 米朝まつり」が19日、大阪・淀屋橋の「朝日生命ホール」で初日を迎えた。米朝さんの長男で、米朝事務所社長でもある桂米団治(61)は「やっと開催にこぎつけました。客席は3密防止。それでも普段通りの芸を届けます」と決意を語った。

 上方落語界の復興に尽力した四天王の1人で、人間国宝でもある米朝さんが亡くなったのは2015年3月17日。当初は3月20~22日に5公演を開催する予定だった。だが、新型コロナ禍で中止。演芸界は軒並み、舞台公演を中止せざるを得なかった。現在、感染拡大の第2波が押し寄せているが、米団治は「演芸界の閉塞感を打破するには、米朝の力を借りなアカンと思いました。『米朝』の冠をつけて『米朝まつり』というタイトルで再スタートすることが本来的。米朝の名前を使わせていただきます」と開催に踏み切った。

 初日は孫弟子にあたる桂南光(68)の「抜け雀」など4席。中入り前のトリを務めた南光は、素人時代に毎日放送の「素人名人会」に出演した際のエピソードを披露。「審査員の米朝師匠とトイレで会い、横並びでサインをお願いしたら『場所をわきまえなさい』と入門前から怒られました。それが最初の出会い。サイン色紙は今も額に入れて飾ってます」と120人の観客の爆笑を誘い、「米朝師匠は凄い方。師匠がおられなかったら、今の上方落語界はないと思います」と大師匠をしのんだ。

 中入り後は、米朝さんが生前、落語以外で存続に尽力した日本アニメの原型とも言われる「錦影絵(にしきかげえ)」を披露。南光が解説し、若手の桂団治郎(31)、桂慶治朗(36)の2人が錦影絵の初舞台に臨んだ。「錦影絵」は江戸時代の大衆芸能。オランダ由来の「風呂」とよぶ幻灯器と、フイルムに相当する「種板」を用い、和紙スクリーンに裏側から絵を映し出して動く映像を制作。「錦影絵師」が語りとともに絵を動かすもの。団治郎は「お客さんのおかげで頑張れました。笑ってもらって、拍手を頂いて」とホッとした顔を見せた。

 19~30日の12日間に、米朝事務所から桂ざこば(72)ら所属落語家43人全員が登場する。19~21日の3日間は「朝日生命ホール」で。22、23日は「英語落語の会」「桂吉弥一門会」などオンライン落語会。24日から1週間は天満天神繁昌亭で米朝ウイーク「桂米朝五年祭 特別公演」を開催。最終日の30日には「サンケイホールブリーゼ」で1日4公演が開かれ、ゲストに三遊亭円楽(70)、笑福亭鶴瓶(68)ら豪華メンバーが登場する。

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2020年8月19日のニュース