「刑事ゆがみ」 視聴者高評価の背景に“切なさ”の丁寧な描写

[ 2017年12月13日 16:58 ]

フジテレビの連続ドラマ「刑事ゆがみ」の完成披露試写会に登場した俳優の浅野忠信(左)と神木隆之介
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 浅野忠信主演のドラマ「刑事ゆがみ」(フジテレビ木曜午後10時)が14日に最終回を迎える。

 視聴率では苦戦中だが視聴者の評価は高い。データニュース社(東京)が行なっているテレビ視聴アンケート「テレビウォッチャー」(対象2400人)によると、第8話までの平均満足度は3・83(5段階評価)と高満足度の基準3・7を上回り、10月スタートの秋ドラマ(午後8時台〜11時台)全17作品中4位。視聴率で好調な「陸王」(平均4・11)、「コウノドリ」(3・94)、「ドクターX」(3・93)に次ぐ好数値を記録している。好調の理由の一つとして挙げられるのが、男性キャストが多く出演している中、丁寧に描写される「女性たちの心理」がある。

 浅野忠信演じる弓神(ゆがみ)と神木隆之介演じる羽生がバディを組み、難事件を解決するのを軸に、稲森いずみ演じる上司と山本美月演じる影の協力者以外、女性レギュラーは登場しない。だが、事件の“犯人”を振り返ってみると、犯人がまだ判明していない前回の第9話をのぞいた計8話中7話が女性犯人。かつて痴漢被害に遭ったことで間違った正義感を暴走させてしまう女性駅員(杉咲花、第1話)、年下の恋人に“ある秘密”を打ち明けられず悲劇を生んだ女性教師(水野美紀、第2話)、夫が不倫し夫婦愛を取り戻すため誘拐事件を自作自演した妻(板谷由夏、第5話)…。、“誰が犯人か”ではなく“なぜ犯人になったのか”をたどり、“なぜ”を女性視点のエピソードにすることで、男所帯のドラマにもかかわらず、女性に一定の支持を得ている要因となっている。

 「切ないストーリー。でも今までにない刑事物でおもしろい」(52歳女性)、「(犯人が)本当は悪いことをしていたわけではなかったと知った時が切なかった」(33歳女性)、「被害者の女性がせつなくて、やるせない気持ちがひしひしと伝わってきた」(53歳女性)など、その丁寧な女性の描写が“切なさ”を感じ、そこに女性視聴者も深く共感しているようだ。

 最終回でスポットが当たるのもやはり女性。謎の少女として描かれてきた山本美月演じる“ヒズミ”の過去が明かされる。ここでも“切なさ”がテーマになってくるのか…。表には出さないが、日々切なさを心のどこかに感じて生きている人も少なくない。思い当たる、からこそ共感できるのではないか。

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2017年12月13日のニュース